親に頼ることができない子どもたちの「スタンド・バイ・ミー」? ロックウェル監督25年ぶりの新作

親に頼ることができない子どもたちの「スタンド・バイ・ミー」? ロックウェル監督25年ぶりの新作

 映画『イン・ザ・スープ』(1992年)や『フォー・ルームス』(95年)などの作品で、ジョン・カサヴェテス、ジム・ジャームッシュらに連なり米インディーズ界の雄として一世を風靡(ふうび)した、アレクサンダー・ロックウェル監督の25年ぶりの公開作となる新作『スウィート・シング』が、10月29日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺(東京)ほか全国で順次公開される。



【動画】映画『スウィート・シング』日本版予告編



 本作が描くのは、親に頼ることができず自分たちで成長していかなくてはならない、15歳の姉ビリーと11歳の弟ニコ、そしてその家族の物語。演じるのは、監督の実の娘ラナと息子ニコ。そして実の妻である女優カリン・パーソンズが母親イヴを、『イン・ザ・スープ』からの盟友で、『ウェンディ&ルーシー』や『ミナリ』の名脇役ウィル・パットンが父親アダムを演じる。



 スーパー16ミリフィルム撮影のモノクロとパートカラーが美しく、一貫してインディーズにこだわり続けてきたロックウェルらしい、映画愛にあふれた一編となっている。



 タイトルの由来でもあるヴァン・モリソン「Sweet Thing」や、主人公ビリーの夢の中のゴットマザー、ビリー・ホリデイの「I've Got My Love to Keep Me Warm」など、音楽ファンにはたまらない数々のサウンドトラックが詰まった本作。



 解禁された予告編では、本編で強い印象を残す楽曲の一つ、数奇な運命を辿った60年代アメリカのシンガー カレン・ダルトンの「Something On Your Mind」が使用されている。酒に溺れる父アダム。家出して、子どもたちはそっちのけの母イヴ。そんな両親との暮らしの中で、ビリーとニコは少年マリクに出会う。逃走と冒険の旅を始める3人の子どもたち。その姿は活き活きとした表情にあふれ、どのカットも宝石のような輝きを放っている。幻想的なパートカラーの映像やユニークな英字テロップなど、ロックウェル監督のチームが手がけたオリジナル予告編が最大限に活かされたものになっている。



 場面写真では、『スタンド・バイ・ミー』へのオマージュのような線路上を歩く3人のモノクロ写真や『ハッシュパピー バスタブ島の少女』を彷彿させる粒子の粗いカラー写真など、作品世界を彩る印象的なショットが並ぶ。



 世界はとても悲しい。でも、幸福な1日はある。その1日がずっと長く続きますように。すべての大人に子ども時代のきらめきを思い起こさせる。ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門で最優秀作品賞を受賞。映画監督クエンティン・タランティーノは「この数年に観た新作で、最もパワフルな作品の一つだ」と絶賛した。

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