映画界の華麗なる一族の新星ジア・コッポラ、YouTuberの狂乱を描く

映画界の華麗なる一族の新星ジア・コッポラ、YouTuberの狂乱を描く

 『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)のアンドリュー・ガーフィールドが主演する映画『メインストリーム』が10月8日より新宿ピカデリー(東京)ほかにて全国公開される。本作の監督を務めたのは、フランシス・F・コッポラの孫で、ソフィア・コッポラの姪ジア・コッポラ。映画界の名門コッポラ一族の新星だ。



【動画】ジア・コッポラならではのセンスがよく表れた本編映像



 ジア・コッポラ監督の祖父フランシスは『ゴッドファーザー』シリーズ(1972年、74年、90年)や『地獄の黙示録』(79年)を手掛けた映画界のレジェンド。また、フランシスの娘にして、ジアの叔母に当たるソフィア・コッポラも映画監督として活躍し、東京を舞台にした『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)でアカデミー脚本賞を獲得。『SOMEWHERE』(10年)ではべネチア国際映画祭金獅子賞を受賞、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(17年)でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞するなど、受け継いだ才能を遺憾なく発揮している。



 監督として名を馳せる2人以外にも、作曲家のカーマイン・コッポラ(曾祖父)、セットデザイナーのエレノア・コッポラ(祖母)、映画監督・MV監督・プロデューサーなど多彩な顔を持ちウェス・アンダーソン作品の脚本家として知られるロマン・コッポラ(叔父)、『ロッキー』(1976年)のヒロイン・エイドリアンを演じたタリア・シャイア(大伯母)、本作にも出演しているジェイソン・シュワルツマン(従兄)、そしてアカデミー主演男優賞受賞歴を持つ名優ニコラス・ケイジ(従祖父)らが名を連ね、華やかさでは右に出るものはいない一族だ。



 そんなハリウッド屈指の名門出身のジア・コッポラだが、彼女もまた一族の才能を色濃く受け継いだ。幼い頃から祖父や叔母の撮影現場に入りびたり映画に触れてきたジアは、叔母ソフィアの『SOMEWHERE』の衣装アシスタントや、祖父の『Virginia/ヴァージニア』でメイキングを担当。



 「ソフィアやおじいちゃんの撮影現場が映画学校のようだった」と語り、家族の元でキャリアを積んできたジアは、ジェームズ・フランコの短編小説をもとにした青春映画『パロアルト・ストーリー』(13年)で鮮烈なデビューを果たす。作品は批評家から絶賛を浴び、一作目にして監督としての才能を開花させたジアは当時まだ27歳。



 しかし、彼女は映画界だけにとどまらず、キルスティン・ダンストを起用したオープニング・セレモニーのCMや、水原希子を起用したユナイテッドアローズのCMのほか、さまざまなミュージックビデオの監督としても活躍し、センスあふれる作品群は発表の度に話題を集めた。2016年にはGucciのPre-Fallのコレクションと関連した短編フィルムも発表するなど、ファッション業界からも引く手数多。学生時代に写真家のスティーブン・ショアに師事した彼女は、フォトグラファーとしての顔も持っており、彼女が自身のSNSで発信するキュートでファッショナブルなライフスタイルやセンスが注目されることもしばしば。



 多彩な才能でさまざまな顔を持つ彼女が、満を持して世に送り出した長編2作目『メインストリーム』は、一見華やかに見えるSNS界の闇、YouTuberの狂乱を描いた衝撃作。昨年のべネチア国際映画祭に正式出品され、全米公開時に激論を巻き起こした。



 ジアは「ソーシャルメディア上で人気を支えるものは一体何なのか、を突き詰めたかった。私たちは何気なくSNSを見ているけれど、実は、無意識に押している“いいね”や“フォロー”がSNSの主流(メインストリーム)を作っている。なのに私たちには、その自覚がない…という問題に気づいたのよ」と作品作りのきっかけを明かす。



 あふれ出る刺激的な言葉で見るものを翻ろうする青年リンクを怪演したのは、アンドリュー・ガーフィールド。その恋人役には、イーサン・ホークとユマ・サーマンを両親に持ち、ファッションアイコンとしても人気のマヤ・ホーク。匿名のネットユーザーが作り出す、気まぐれなメインストリームに君臨し、翻ろうされ、暴走する若者は、果たして時代のスターか? ペテン師か? それとも被害者なのか?



 解禁された本編映像では、Youtube動画がバズり、リンクたちのテンションが爆上がりする様子が、絵文字などのエフェクトでポップに表現されている。映画本編では、若者たちの心浮き立つ瞬間や、“いいね”に翻弄され、苦悩するシーンなどに絵文字が散りばめられ、現実とSNSとの境が曖昧になり、毒々しくキラキラ輝く絵文字の洪水が、現実世界に雪崩れ込む表現など、ジア・コッポラならではのセンスがよく表れたシーンの一つだ。

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