浜辺美波、ずっと『君の膵臓をたべたい』のイメージと闘っている「かっこいい女性を演じて打ち破りたい」

浜辺美波、ずっと『君の膵臓をたべたい』のイメージと闘っている「かっこいい女性を演じて打ち破りたい」

 北村匠海とのW主演でヒットを呼んだ映画『君の膵臓をたべたい』(2017年)で、一躍ブレイクを果たした浜辺美波。以来、映画・ドラマともに主演作が相次ぎ、2023年公開の話題作『シン・仮面ライダー』ではヒロイン役に抜擢。「東宝シンデレラ」オーディションから10年、気づけば日本を代表する俳優の1人に飛躍したが、自身は今も『君の膵臓をたべたい』のイメージと闘っているという。確かに、同作で演じた“桜良”のように清純でまっすぐな印象が強い浜辺の、俳優としての葛藤と野望を聞いた。



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■もっと明るくしなきゃ、と疲弊していた時期も…「だんだん“人の目”を捨てて楽に」



 ここ数年は主演・ヒロイン役が相次いでいた浜辺だが、明日4月1日公開の映画『やがて海へと届く』では、主人公・真奈(岸井ゆきの)の親友役・すみれを演じた。自由奔放でミステリアス、不思議な魅力を放つ彼女は、突然消息を絶ち、親友・真奈の前から姿を消す。「実写化困難」とも囁かれていた同名小説が原作で、一部は繊細な水彩アニメーションで描かれている本作。浜辺は今回、これまでのイメージにない役柄に挑んだ。



――今回大学生を演じてみて、キャンパスライフはいかがでしたか。



【浜辺美波】新入生歓迎会というのを初めて経験して、こんなことが毎年行われているんだと衝撃でした。これまで私が思っていた高校生活とかの青春とは違う色の濃さでした。最初は過剰なのかなって思ったのですが、あれがリアルだと聞いてちょっと引きました(笑)。関わっていない世界すぎて、みんなこれを経験しているんだと思うとびっくりしました。



――浜辺さんが演じられたすみれは謎の多い役どころでしたが、どのようなことを意識しましたか。



【浜辺美波】すみれは秘密を抱えていて、抽象的な表現も多く、彼女の考えを脚本から読み取るのが難しい役でした。私も友達や家族など深い関係になるほどストレートに言えないタイプで、言い方によって否定的に捉えられたら嫌だなとか、あれこれ考えてしまいます。だからこそ、言葉の裏にあるすみれの感情、岸井ゆきのさん演じた親友・真奈への思いを落とさないように演じたいと思いました。



――浜辺さんご自身は、すみれに似ていると感じた点はありましたか。



【浜辺美波】すみれはしっかりした子に見えているけど、本当はずっと迷い続けていて。私自身も、”自分はこうです”とはまだ言い切れなくて、俳優としての立ち位置に迷いがあるので、そういうところは似ているのかなと思います。特にこのお仕事はゴールがあるわけでもないですし、自分がどこにいくのかも分からないけれど、いろんなことをしながらずっと探し続けている感覚です。



――中川監督は「すみれは1個1個何かを捨てていく」と表現されてましたが、浜辺さん自身は年を重ねるごとに捨ててきたものはありますか。



【浜辺美波】私はだんだん人の目を捨てていってます(笑)。いい意味で気にしなくなりました。元々すごくシャイなので、もっとハキハキしなきゃとか、明るく頑張ろうって意識していた時もあったのですが、そしたら家に帰った時にどんよりしちゃって、何もする気力がなくなってしまって。これは良くないなと思ってからは、“今日頑張ろう”でもなく、常に同じくらいのテンションを保つようにしています。私にはこっちの方が向いているなと思っています。



■「ずっとこのお仕事は向いてないと思ってた」“プライド”ないから続けてこられた10年



――自分らしくありたいと思いつつも、人からの見られ方を気にしてしまう人も多いと思います。どうしたら気にしすぎずにいられると思われますか。



【浜辺美波】本当にそのことが好きであれば、何を言われても気にしない強さを持てると思うのですが、そういう強さを”好きだから”っていう理由だけでは通しきれない人も多いんじゃないかなと思います。でも、私はその強さを持てないところも人間の可愛らしいところだと思っていて。そういう部分があるからこそ、人に優しくなれたり、視野を広く持てたりするのかなって。私は気にしてしまう人の心の繊細さが好きだなと思うので、そこを長所として捉えられたら良いのかなと思います。



――俳優は常に人から“見られる”職業ですが、やはり「好き」だからこそ続けてこられたのでしょうか?



【浜辺美波】ずっとこのお仕事は自分に向いていないと思っていましたし、苦手な意識があるのですが、好きなんだと思います。プライドもそんなにないですし、そういう意味ではあまり守るものがなかったからこそ、続けてこられたのかもしれないです。いざとなればいつでも辞めるって言えると思うけれど、後々テレビを見る度に「そこにいたかったな」とか「作品に出たかった」と思うんだろうなと考えると、後悔したくない、負けたくないという気持ちが強いです。



――意外なお話ですね。世間の自身のイメージとのギャップを感じることもありますか。



【浜辺美波】やはり初めにたくさんの方に知っていただいたきっかけとなった、『君の膵臓をたべたい』のイメージがいまだに強いのかなと感じます。当時の人見知りで物静かな印象が強すぎて、「変わったね」と言われることも多々あるので、今もその作品と闘っているところはあると思います。これからさらに演技の幅を広げていって、そのイメージを打ち破るような、大人のかっこいい女性を演じられるようになりたいです。





 浜辺が『ニュージェネレーション賞』を受賞した「東宝シンデレラ」オーディションで、グランプリ・特別賞を受賞したのは上白石姉妹だった。これまで俳優業に苦手意識を抱えながらも、「劣等感が原動力になっていた」と明かしている浜辺。



 人と比べ、人に合わせがちだった彼女が“人の目”を捨てられるようになったのは、大きな前進だろう。元々の繊細さに加え、ようやく自分らしさを手にした彼女が、今後どんな“かっこよさ”を見せてくれるのか、大いに楽しみだ。



(文=鈴木ゆかり)
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