ナチスの台頭前夜、90年前の物語が“現代の日本人”にも響く ドイツ映画公開決定

ナチスの台頭前夜、90年前の物語が“現代の日本人”にも響く ドイツ映画公開決定

 昨年の「第71回ベルリン国際映画祭」コンペティション部門に出品され、ドイツ映画賞では最多10部門ノミネート主要3部門を受賞するなど、大きな話題を呼んだドイツ映画『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』(PG12)が、6月10日より東京・Bunkamuraル・シネマほか全国で順次公開される。



【動画】『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』予告編



 「飛ぶ教室」「ふたりのロッテ」などで知られる児童文学の大家エーリヒ・ケストナーが書いた唯一の大人向け長編小説にして最高傑作と謳われる「ファビアン あるモラリストの物語」が原作。



 監督は、本作が日本初登場となるドミニク・グラフ。ドイツ映画界のトップスターとなったトム・シリングを主演に、刺激的にカリカチュアされた映像を縦横無尽に駆使して、90年前の小説を「今、この世界の映画」として完成させた注目作だ。



 予告編を見ると、現代のベルリンのハイデルベルガー・プラッツ駅から、本作の舞台である1931年のベルリンへと誘われる。狂躁と頽廃の20年代から出口のない不況へ。ひたひたとナチズムの足音が聞こえてきた時代。作家を志してベルリンにやってきたファビアン(トム・シリング)だったが、目的のない毎日を繰り返すばかり。女優を夢見るコルネリア(ザスキア・ローゼンダール)との恋、親友ラブーデとの関係などが映し出されていく。



 軍靴の響きが耳に強い印象を残すとともに、一部をスーパー8で撮ったというざらついた質感、華やかなのにどこか閉塞的で頽廃的な当時のベルリンの風景にも目を奪われる。



 ナチスの台頭前夜、世界が大きく変わる予感と不安の中で、青年ファビアンの「これからどこへ歩き出せばいいのか」という焦燥、戸惑いは、きっと現代の日本人にも共感できるものであろう。

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