ジャック・オディアール監督のモノクロ映画「いつか恋愛映画を」「パリの新しい側面を楽しんで」

ジャック・オディアール監督のモノクロ映画「いつか恋愛映画を」「パリの新しい側面を楽しんで」

 「第74回(2021年)カンヌ国際映画祭」コンペティション部門に正式出品された映画『パリ13区』が本日(22日)より東京・新宿ピカデリーほか全国の劇場で公開。本作のジャック・オディアール監督からメッセージ動画が到着した。「ぜひ劇場で観ていただけたら嬉しいです」と笑顔で呼びかけている。



【動画】ジャック・オディアール監督のメッセージ映像



 カンヌ国際映画祭パルムドール受賞『ディーパンの闘い』、グランプリ受賞『預言者』など数々の名作で世を驚かせてきた、今年70歳を迎える鬼才ジャック・オディアール監督。この最新作は、『燃ゆる女の肖像』で一躍世界のトップ監督となった現在43歳のセリーヌ・シアマと共同で脚本を手がけ、“新しいパリ”の物語を、洗練されたモノクロの映像美で大胆に描き出している。昨年のカンヌ国際映画祭でお披露目されるや、フランス映画界屈指の世代を超えたビッグコラボが大きな注目を集めた作品だ。



 舞台は、高層住宅が連なり多国籍なパリ13区。コールセンターで働くエミリーと高校教師のカミーユ、32歳で大学に復学したノラ、そしてポルノ女優のアンバー・スウィート。ミレニアル世代の男女4人の孤独や不安、愛やセックスにまつわる人間模様を美しいモノクロームの映像で描き出す。



 物語についてオディアール監督は「原点にあるのは、エリック・ロメール監督の『モード家の一夜』でした。いつか愛について語る映画を撮りたい、より厳密に言えば、現代において人はいつどのようにして愛について語るのだろうか、という思いを、知らず知らずのうちに抱いていたのです。『モード家の一夜』には2人の男性と1人の女性が登場しますが、特に1人の男性と女性が夜通し話をします。自分たち自身のことはもちろん、あらゆることについて語り合うのです。ひかれ合う兆しが示されますし、互いの腕に身を委ねて愛し合うべきなのに、結局はそうならない。なぜか? それは、全てが言葉で語られ、誘惑やエロチシズム、愛といったものは、言葉を通じてのみ表されるからです。それを追いかけるのは余計というものでしょう」と、インタビューで答えている。



 「逆の状況が提示された場合、現代ではどのように事が運ぶのでしょう。出会い系アプリや『初デートでベッドイン』の時代には、実際何が起こるのでしょう。こうした状況において、情緒的な会話はありえるのでしょうか。答えはもちろんイエスです。疑いようもありません。ですが、どんな瞬間にそれが見られるのか。どんな言葉や手順なのか。それが『パリ13区』という物語の主題の一つなのです」。



 続けて、物語の中で苦悩しながらも前に進んでいくエミリー、カミーユ、ノラ、アンバー・スウィート、4人の登場人物について「彼らはもうティーンエイジャーではありません。主役の4人は人生経験をいくらか積んだ若者で、互いに出会い、愛し合うことになります。彼らは皆、社会的な存在で、世捨て人ではありません。3人は30代。すでに住居や職を探す苦労や、仕事上の難局を経験しており、恋愛はもちろん、性的にも身を固められずにいる。彼らは自立したばかりにもかかわらず、ライフスタイルを変えてしまいます。登場人物たちは皆、幻滅を味わうのです。ですがそれは、いいことです。彼らは自分自身について見誤っています。さまざまな経験を通して、自分が本当は何者で、何を望み、何を心から愛するのかに、目を向けることになるのです」と、見どころを示唆。



 コロナ禍に製作された本作だが、これまでの作品とは異なる特別な方法で進められたという。「撮影が始まる3日前には、パリの劇場で脚本を最初から最後まで通しで確認しました。役者全員が顔を合わせ、役柄をとおしてお互いを見て、うまくいった点とそうでない点を把握し、自信を付ける機会にもなりました。さらに、リハーサルにかなりの時間をかけたことで、撮影が非常に速く進み、新型コロナウイルスにさらされる機会を減らすこともできたのです」。



 最後にオディアール監督は、日本の観客に向けて、「今回はパリの新しい側面を映すためにモノクロで撮影しました。エイドリアン・トミネの物語に着想を得て、セリーヌ・シアマとレア・ミシウス、2人の才能豊かな女性脚本家とともに作り上げた作品です。ぜひ楽しんでご覧ください。私もこの撮影には非常に楽しんで臨むことができました」と、コメントを残している。

カテゴリ