韓国映画『ペパーミント・キャンディー』4Kレストア版配信 イ・チャンドン監督インタビュー

韓国映画『ペパーミント・キャンディー』4Kレストア版配信 イ・チャンドン監督インタビュー

 1999年に韓国の文化開放後、初の日本・韓国合作映画として製作・公開されてから20年以上の時を経て、『ペパーミント・キャンディー4Kレストア・デジタルリマスター版』が、映画配信サービス「JAIHO(ジャイホー)」にて配信される(配信期間:7月20日~9月17日)。これを記念して、監督を務めた韓国映画界の巨匠イ・チャンドンの特別インタビューが到着した。配信サービスの映画製作への参入などで変わりゆく映画業界に対する考えや、『ペパーミント・キャンディ4Kレストア・デジタルリマスター版』に関する裏話、次回作についても言及している。



【動画】イ・チャンドン監督のコメント+映画『ペパーミント・キャンディー』予告編



 『ペパーミント・キャンディー』は、1999年に韓国で封切られるや、絶賛の嵐を巻き起こし、動員50万人突破のヒットを記録。韓国で最も権威のある映画の祭典と呼ばれる「大鐘賞」で主要5部門を独占し、世界各地の映画祭でも高い評価を受けた。



 1999年、春。40歳のキム・ヨンホは、旧友たちとのピクニックに場違いな恰好で現れる。そこは、20年前に初恋の人スニムと訪れた場所だった。仕事も家族もすべてを失い、絶望の淵に立たされたヨンホは、線路の上で向かってくる列車に向かって「帰りたい!」と叫ぶ。すると、彼の人生が巻き戻されていく。自ら崩壊させてしまった妻ホンジャとの生活、互いにひかれ合いながらも結ばれなかったスニムへの愛、兵士として遭遇した「光州事件」…。そして、記憶の旅は人生のもっとも美しく純粋だった20年前にたどり着く…。



――『ペパーミント・キャンディー』の撮影から約23年の月日が経ちますが、当時と比較して撮りたい作品に対する変化などはありますか?



【イ・チャンドン】『ペパーミント・キャンディー』を撮っていた時も、そして今でも、常に映画を通じて私が生きている世界そして私たちの人生について問いかける映画をずっと撮り続けたいと思っています。それは今でも変わりません。そしてそうした問いかけと共に観客と一緒に答えを探していくような、そんな映画を作っていきたいです。人生についての問いかけを今でもしています。



――イ・チャンドン監督の作品の多くが4Kリマスター化されています。リマスター化には監督自身がどの程度関与されているのか、国からの支援などがあるのか教えてください。



【イ・チャンドン】そうですね。国の支援でリマスター作業を行うこともあります。政府の機関である映像資料院でそうした支援をしています。私の映画でいうと『ペパーミント・キャンディー』は映像資料院の支援を受けてリマスター作業をしました。そして私の作品のリマスター作業に関しては、最初から最後まで私自身も参加をして細かく作業を行います。最大限に原本の通りにするリマスター作業です。



――「JAIHO」で配信が始まる『ペパーミント・キャンディー4Kレストア・デジタルリマスター版』について思い出すエピソードなどありましたら教えてください。



【イ・チャンドン】この作品は最初のチャプターと最後のチャプターで同じ鉄橋が登場しますが、最後のチャプターの時に再びその場を訪れて撮影をしようとしたところ、鉄橋で工事がはじまっていたんです。私はパニックに陥ったのですが、なんとか工事をストップしてもらって撮影をした覚えがあります。このエピソードを知って映画をご覧になると、最初に出てくる鉄橋と最後に出てくる鉄橋の微妙な違いを感じていただけると思います(笑)。



■コロナによる苦境で、韓国映画界に訪れた変化とは?



――近年、配信サービスが映画を製作することが増え、日本でもNetflix製作の韓国映画やドラマ、その他の配信サービスだけでしか観られないオリジナル作品が話題となる事が多いです。監督ご自身は、配信サービスオリジナルの映画を撮ることに興味はありますか?



【イ・チャンドン】そうですね。プラットフォームが多様になり、観客が映画を見る環境や習慣がとても変わったと思います。もしもそうした配信サービスで観客に出会える機会があれば私もやってみたいとも思いますが、まだ私がやってみたいと思える物語に出会えていません。いつかそうした機会もあるのではないかと思っています。



――韓国映画界の変化、現在の韓国映画についての監督のお考えなどもお伺いしたいです。



【イ・チャンドン】映画製作はコロナの影響で厳しい部分も多いです。なぜなら今、制作された韓国映画の100本以上が劇場公開できぬまま待機しています。その反面で配信サービスコンテンツ、ドラマはとても人気です。韓国では今、ドラマ制作はとても活発です。また、映画のスタッフや俳優も今はドラマを撮っていることが多いです。映画産業は、今後観客が劇場に戻ってきてくれるかどうかの分岐点に立たされていると思います。その中でも私は私のできることをしているし、韓国映画が再び活気を取り戻すであろうと信じています。



――「JAIHO」では、7月にイ・チャンドン監督が製作総指揮を務めた『私の少女』、8月には製作プロデューサーを務めた『ファイ悪魔に育てられた少年』が配信予定です。監督は、製作プロデューサーとしても映画に携わられていることがよくありますが、今後一緒に映画を作り上げたい監督もしくは俳優の方がいましたら、国内外問わずで教えてください。



【イ・チャンドン】将来の可能性にあふれる若手の監督たちに映画を作る機会をもっと与えてほしいと思いますし、私が力になれる部分があれば力になろうとしています。私が演出をしなくても製作者という立場で参加しながら、一緒に映画を作りたい若い俳優さん、個性あふれる俳優さんたちと一緒に仕事をしたいと思っています。今は『バーニング劇場版』で一緒にシナリオ作業をしたオ・ジョンミさんと準備している作品を書いているところで、私は製作者として皆さんのお目にかかる予定です。



――次回作に関して制作の予定や何か構想などがあれば可能な範囲で教えてください。



【イ・チャンドン】今はコロナの影響で映画製作にさまざまな影響がでています。しかし私も次回作を準備していますし、早く皆さんにお目にかかれたらと思っています。

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