東出昌大主演映画、劇場公開決定 西日本豪雨による土砂災害をテーマに含む『とべない風船』

東出昌大主演映画、劇場公開決定 西日本豪雨による土砂災害をテーマに含む『とべない風船』

 東出昌大の主演最新作、共演に三浦透子、小林薫、浅田美代子が名を連ねる映画『とべない風船』の劇場公開が決定した。本作は、広島も襲われた平成30年(2018年)の西日本豪雨による土砂災害をテーマの一つとして描いており、災害から今年で4年が経ち、風化への警鐘を鳴らすことも本作の一つの目標としている。



【動画】映画『とべない風船』特報



 東出が演じるのは、瀬戸内海の島で孤独に生きる漁師・憲二。数年前に起こった豪雨で家族を失い心に傷を抱え主人公が、人生に迷い、疎遠になった父親に会いに島にやって来た元教師の女性と出会い、家族でも恋人でもない二人の永遠に晴れそうにない心の行方を、「多島美(たとうび)」が連なる瀬戸内海を背景に描く。



 本作の監督・脚本を務める宮川博至(みやがわ・ひろゆき)は、広島県出身で、学生時代から映像制作に携わりCMディレクターとして活躍。前作の中編映画『テロルンとルンルン』(18年、岡山天音主演)が広島国際映画祭を皮切りに国内外の映画祭に多数出品され、全国劇場公開も果たした新進気鋭の映像作家の長編1作目となる。



 共演の三浦が、過去のトラウマから周囲と関係がうまくいかず島に逃げてきた元教師の女・凜子を演じる。凛子の父親役に小林薫。父親も元教師で引退後は地元の島に戻り静かに暮らしていた。島民行きつけの居酒屋の明るい女将役で浅田美代子も出演する。



 撮影は、広島県呉市蒲刈や江田島市など、瀬戸内海の絶景「多島美」で有名な場所など、広島でオールロケを敢行。「多島美」とは、瀬戸内海など内海に浮かぶ、小さな島々が連なる様子を形容した言葉で、山頂から望む雄大な景観は瀬戸内海随一と称えられるほどだ。



 「多島美」の絶景からはじまる特報には、東出演じる主人公が、「大事なやつなんよ」「これは合図なんよ」と、物干しに黄色い風船をつなぐ理由を明かし、豪雨の中で泣き叫ぶ様子も映しだされている。瀬戸内海の島を舞台に、悲痛な過去を持つ漁師の男と、人生に迷った元教師の女が出会い、どのような展開が待ってるのか、期待が高まる映像に仕上がっている。



 ティザーポスターは、空っぽの物干し台をとらえた上下逆さまの写真に、黄色い風船だけが上に向かって風に揺られているビジュアル。タイトル『とべない風船』の「風」の文字も逆さまになっている。曇り空のような背景に、「心は晴れないのに、空は憎らしいほど青かった。」のコピーが添えられ、本作の奥深い魅力を表現している。



 映画の舞台である広島「八丁座」などで今冬、先行公開することが決定。2023年の年明けには、正月第2弾としてメイン劇場となる東京・新宿ピカデリーほか全国で順次公開される。



■宮川博至監督のコメント



 西日本豪雨は広島で生活している私にとって、初めて身近で起こった最悪の災害でした。ここ広島で生活しているからこそ、豪雨災害をテーマに映画を作らなければならない。そう思い、私は脚本を書き始めました。



 人は、簡単に「災害が起こった場所などに住まず、引っ越すべき」「もっと他にいい場所はたくさんある」と言います。それも正しい。しかし、事実としてその場所から離れられない人もいます。その人たちの事情を聞けば、口にできない言葉が増えていきます。前向きになんてならなくていい、ただ映画を見ているその時間だけでも前を向く気持ちが少しでも芽生えればと思い、この映画を作りました。



■東出昌大のコメント



 都会のスクランブル交差点でふと周囲の人々の顔を眺め、想う。「この人たちにも大切な人がいて、親との死別を経験したり、心が千々に砕けるような人生の瞬間があるのか」。そう想像した時、心が濁流に飲み込まれるような感慨を覚えたことがあります。



 瀬戸内海の過疎化が進む漁村に住み、魚の掛からない網を引き揚げながら、遠くに吊るされた萎んだ風船を眺める男を演じました。彼が何故風船を見つめるのか。私とは他人である彼の人生に想いを巡らせた時、生きていく事の複雑さと残酷さと、人と生きる素晴らしさを知りました。青い瀬戸内の海のような作品です。ぜひ、映画館で多島美と、人の生きていく有りの儘をご堪能下さい。



■三浦透子のコメント



 撮影中ずっと、この作品に関わる皆さまの広島という場所への愛を感じ続けていました。その愛ゆえのやさしさを受けて生まれた一瞬が、映像の中にたくさん詰まっていると思います。寂しさを共有する少しの勇気が、自分の明日を変えてくれる。そんな温かい人と人の交わりを丁寧に切り取った作品です。心に届く、愛される作品になってほしいです。



■小林薫のコメント



 昨年秋の今と変わらずのコロナ禍での撮影でした。呉のお店も自粛中であったりして、淋しいけどコンビニでお酒をまかなって部屋飲みとせざるを得ませんでした。だからちょっと、呉の街の印象は薄くなっているンですが、島から見る海の景色は忘れませんね。



 蒲刈島や江田島での撮影が中心で、漁協の海も、丘の上のオリーブの木越しにみえる海もみな穏やかで、ついつい撮影をしていることを忘れてしまいがちになるほどでした。心に負った傷が、ゆったりと流れる時間の中で。少ーしずつ癒されていく映画をご覧になりながら、そんな風景に身を預けてみて下さい。



■浅田美代子のコメント



 コロナのさなか、瀬戸内海の綺麗な空気と景色に癒されました。広島の若いスタッフや監督との撮影は楽しく、たくさんのエネルギーをもらいました。『とべない風船』というタイトルがあまりに悲しくてツラい感じかなと思ったのですが、飛べない風船、飛べなくても飛ばなくちゃいけないんだという勇気がもらえたような気がします。



 家族、どんなにツラい過去、悲しい出来事があったとしても残された者は生きていかなくてはいけない…生きていたらきっと良いことがあるに違いないと信じたいです。居る事が当たり前だと思っている家族ですが、もう一度家族の大切さを感じてほしいです。

カテゴリ