【ANN55周年連載Vol.4】『霜降り明星ANN』に密着! 長尺OPトーク&リスナーと作り上げるコーナー“千本ノック”

【ANN55周年連載Vol.4】『霜降り明星ANN』に密着! 長尺OPトーク&リスナーと作り上げるコーナー“千本ノック”

 1967年10月2日の深夜1時。「君が踊り僕が歌うとき、新しい時代の夜が生まれる。太陽のかわりに音楽を、青空のかわりに夢を。フレッシュな夜をリードするオールナイトニッポン!」という糸居五郎の第一声で、ニッポン放送“深夜ラジオの代名詞”『オールナイトニッポン(ANN)』が幕開けした。現在にいたるまで、才能豊かな数々のパーソナリティーを見出し、リスナーに寄り添い、常に時代の最先端を見つめ、話題や文化を発信してきた『ANN』が、この4月から55周年YEARを迎えた。



【密着写真】貴重!ディレクターから見たブースの中の『霜降りANN』



 ORICON NEWSでは、毎月1組のパーソナリティーにスポットを当てて『ANN』の“今”を紹介する連載企画をスタート。第4弾となる今月は、金曜『ANN0』を2年経たのち、2021年から金曜『ANN』を担当する霜降り明星(せいや・粗品)。全3回にわたる初回は、番組の密着の様子を届ける。



■おしゃべりは45分まで! 超長尺オープニングトーク



 軽快に始まるオープニングトークからは想像し難いが、このラジオ、打ち合わせは一切しないという。



 最初の話題は、同日の午後10時から放送され『麦わらの一味のオールナイトニッポンGOLD~『ONE PIECE FILM RED』SP~』について。開始早々「出待ち禁止ぃ~!」と、せいやがルフィの声優・田中真弓の声まねを披露する。ものまねタレント顔負けであるせいやの声帯模写を、楽しみにしているリスナーも少なくないだろう。



 せいやがスタッフのことを「力持ちくん」と謎のニックネームで呼ぶと、粗品がすかさず「力持ちって呼んでるの?」とツッコミ。『霜降りANN』の魅力のひとつは、ボケとツッコミが秒単位でポンポン入れ替わるところだ。どちらか一方が何の前触れもなくボケると、一方が素早く、痒(かゆ)いところに手が届くような的確なツッコミを入れる。これが打ち合わせ一切ナシというのだから圧巻だ。お互いのことを深く信頼していなければ完成しないスタイルではないだろうか。2人は、互いのさりげない相槌(あいづち)だって見逃さない。このテンポ感を、深夜1時に堪能できるのは非常に貴重だ。



 続いて、納車したてのレクサスをすってしまった粗品の話、あいみょんのライブに行ったせいやの話と、オープニング内だけで3つの話題が展開された。オープニングトークが盛り上がりすぎるあまり、放送上の都合から台本に「タイトルコールまでのおしゃべり45分まで!」(『忍たま乱太郎』の「お残しは許しまへんで!」風に)と書かれているとか、いないとか。いったいこのままいつまで続くんだろうと、スタッフもリスナーも胸を躍らせるオープニングだが、今回は45分ピッタリで無事おさまった。



 2時間があっという間に感じてしまう理由のひとつは、このオープニングの長さにもあると思う。45分の即席ネタを聴いている気分になるオープニングトーク。毎秒どこをとっても常にボケとツッコミが小気味よく展開されているため、いい意味で“ながら聴き”には不向きで、深夜ラジオ特有の“没入感”を楽しめるものになっている。



■5つのコーナーは霜降り明星の千本ノック



 声だけでも、2人の様子が十分に伝わるのだが、実際に現場で見ていると、とにかく表情が豊かである。CM中ですら、作家の畠山健氏を含めて3人で雑談しているのが印象的だった。本番さながら、豪快に大口を開けて笑うせいや。競馬新聞を見る表情とは打って変わって、ニヤニヤする粗品。2人の声や、笑い方に、密着していることを忘れて、こちらの頬も緩んでしまう。



 そんな最中にあっても、番組はどんどん進んでいく。リスナーからのメールを読み上げ、コーナーへと移行する。コーナーメールは、せいやと粗品が丁寧に選んでいる。



 「霜降り交遊録」では、事前にせいやが選んだメールを、一通一通声まねして読み上げる。常にやさしく朗らかな表情でせいやに、畠山氏がメールを渡していく。せいやはメールを渡されるとすぐさま、カメレオンの如く七変化する。この能力、恐ろしい。ケンドーコバヤシ、有吉弘行、加藤浩次など想像しやすい面々はもちろん、ラランド・サーヤの声まねでは「サーヤのものまね初めてみたなぁ」と、思わず粗品も感嘆していた。せいやによるせいやのためのせいやにしかできないこのコーナー、たくさんの芸能人の声を聴いた気になれるから贅沢だ。



 「ピリオド・チャンピオン」のメールは、粗品が選出。放送前のわずかな時間をうまくつかって、笑いながら選んでいた。「真上から見たら乳首に見えるだろうなチャンピオン、東京タワーさん」という投稿を粗品が読み上げると、目線を天に上げ「んあ?」と言いながら東京タワーを想像するせいやが、漫画のキャラクターのように見えた。このコーナーを終わらせないためにも、粗品にはぜひとも、本家の『オールスター感謝祭』で前人未踏5度目のピリオド・チャンピオンに輝いてほしい。



 リアクションメールを挟みながら「野党!」「一行」と4つのコーナーが次々に行われ、最後はリスナー待望の「ポケットいっぱいの秘密のコーナー」(通称:ポケひみ)。せいやが大ファンである、アグネス・チャンの楽曲に乗せて、摩訶不思議な世界へと誘う同コーナーだが、もう何度聴いたかわからない「ププププ〜ン♪」という前奏と、粗品の「ププププ〜〜ン♪ちゃうねん!」というツッコミが冴えわたる。



 少し前までは、せいやが身体を目いっぱいに動かし、アドレナリン全開で残りの体力を振り絞って暴走していたが、最近では新たなチャレンジを行っている。この日は事前に録音した「ポケひみ」の音源を流し、せいや(本体)とせいやさん(録音)と粗品(本体)でチグハグな笑いを生み出しつつ、“タックスマン”に、のどを捧げた。



 2人が選ぶネタメールのレベルが高いことは言うまでもないのだが、それに対しての各々の反応の速さ。深夜の千本ノックで、霜降り明星は常に進化を遂げている。歴史あるオールナイトニッポン。若きスターの霜降り明星は、ルールなんて関係なく自由に楽しみ、長い歴史に新たな遊び方を提案する。強さと弱さを分け合えば、どんなすごいことが起こるだろう? いつまでもこのまま、2人の世界をディープな夜に発信し続けてほしい。



 来週(12日)配信回では、霜降り明星の2人、畠山氏、ディレクターの野上大貴氏の座談会前編を届ける。(取材・文 佐々木笑)
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