リアル桃鉄? 話題呼ぶ“旅ガチャ”、コロナ禍で高まった「どこでもいいから旅行したい」欲にフィット

リアル桃鉄? 話題呼ぶ“旅ガチャ”、コロナ禍で高まった「どこでもいいから旅行したい」欲にフィット

 JR西日本が、サイコロで旅の行き先を決める『サイコロきっぷ』を先月29日に発売。料金は往復5000円で、どこに当たってもかなりお得に人気観光地に行ける企画で、ネット上では発売前から「えっっっ凄すぎ」「リアル桃鉄」「なんて贅沢な水曜どうでしょう」などと大きな反響が寄せられた。JR東日本も、4つの候補からランダムに行き先が選ばれるサービス『どこかにビューーン!』を12月に開始すると発表。JALの『どこかにマイル』や、昨夏話題となったPeachの「旅くじ」等、“旅ガチャ”が旅行業界の光明となるのだろうか。



【概要】お得すぎる!『サイコロきっぷ』行き先&割引率一覧



■最大82%割引、サイコロが旅先を決める格安きっぷ話題「なんて贅沢な水曜どうでしょう」



 JR西日本が先月1日に発表した『サイコロきっぷ』。同22日に大阪市内で先行販売が行われると、100人以上が行列を成した。大阪市内発着の行き先となるサイコロの出目は、西日本エリアのおすすめ6駅(白浜/餘部/東舞鶴/倉敷/芦原温泉/尾道)、およびレア駅(博多)の計7駅。



 新幹線または特急列車の普通車指定席が利用できる往復きっぷで、割引率は約5~8割。通常往復3万円かかるレア駅・博多は、36分の1の確率で当たる設定だ。利用期間は7月29日~10月31日の連続する3日間で、夏休みも使える。「目的地が決まってない商品は初めて」と語るJR西日本に、同企画のねらいと反響を聞いた。



――『サイコロきっぷ』はどのようなきっかけで着想されたのでしょうか。



JR 西日本では、10~20代のZ 世代をはじめとする若年層のお客様との接点として、特設サイト「アオタビ」を立ち上げ、西日本エリアの魅力発信に取り組んでいます。この度、これまでなかなか楽しむことが出来なかった旅を気軽に楽しく、同サイトにて多くの方に楽しんでいただきたいという想いを込めて。若手社員を中心に「サイコロきっぷ」を企画しました。



――「なんて贅沢な水曜どうでしょう」「リアル桃鉄」といった声も寄せられていましたが、エンタメ性やゲーム性は強く意識されたのでしょうか。



「ゲーム性」という部分は企画当初から意識しておりました。Z 世代をはじめとする若年層の方々のご利用促進を図るうえで、重要な要素として認識しておりました。キービジュアルやサイコロを振る際のビジュアルのテイストにもこだわって、仕上げました。



■初の“目的地が決まっていない商品”開発に骨折り 「“5000円”はギリギリの価格」



――企画からローンチまで、どのようなご苦労がありましたか。



目的地が決まっていないという商品は、当社として初めてでしたので、既存の販売の仕組みやきっぷのルールなど様々な制約の中で、いかにお客様に楽しんでいただける商品にするかを考えるのに苦労しました。



――旅先の7 駅は、どのような基準で選ばれましたか。



「大阪市内発基準で各方面」、「在来線特急や新幹線に乗車できる(旅の非日常を感じていただく、お得感を感じていただく)」などです。どの着駅が当たっても、お得に楽しんでいただけるものと思います。



――旅先の各7 駅でのおすすめスポットやおすすめの楽しみ方があれば教えてください。



どの旅先も魅力あふれるスポットが多数ありますので、どれというのは難しいですが、例えば岡山県では、9 月末まで「岡山デスティネーションキャンペーン」が開催中です。スターウォッチングや白桃やブドウを収穫する果物狩りなど、キャンペーン特別企画も多数ありますので、「倉敷」が当たった方は今だけの企画も楽しむことができ、よりお得にお楽しみいただけるかなと思います。



――どの旅先になっても「5000 円」は破格だと思いますが、価格はどのように決められましたか。



ターゲットの若年層のお客様がどの程度、ご旅行で鉄道に支出しているかなどの調査をもとに検討いたしました。最終的には、目的地なども考慮し、わかりやすい「5000 円」に設定しました。何度も試算をしたギリギリの価格で、最大割引率は最大82%(博多)となっており、大変お得にご旅行いただけます。



――発表時点でネットでも話題になっていましたが、エントリー状況はいかがですか。



現在集計中のため、具体的な数はお答えできませんが、大変多くのお客様の反響をいただいております。ターゲットである10~20 代のお客様のご購入が多い印象ですが、30~50 代のお客様にもお求めいただいております。



■リモート普及で変わる鉄道需要、JRも「経営的に非常に厳しい」 “旅ガチャ”で起死回生なるか



――“どこでもいいから旅がしたい”というニーズは強く感じますか。



当社としても初めての企画でしたが、今回の反響を受け、そのようなニーズが高まっていることを非常に感じています。



――本企画を通して、どのような効果や反響を期待されていますか。



コロナ禍でなかなか旅を楽しむことができなかった状況も、徐々に変わりつつあります。若い頃の楽しい思い出や貴重な経験は、その後の人生に大きく役立つと思います。ぜひ、『サイコロきっぷ』で偶然から始まる運命的な旅を楽しんでいただき、西日本各地の良さを感じていただきたいです。



また、当社が提供している「WESTER」のダウンロード数増加につなげることも目的の一つです。コロナ禍で非対面、非接触のサービスを進めるにあたり、お客様ご自身で運行情報やきっぷの申込などが可能な「WESTER」の利用を増やすことは重要です。『サイコロきっぷ』を契機に、お客様のさらなる利便性向上を実現していきたいです。



――コロナ禍においては出張・旅行自粛やリモートワークが進みましたが、鉄道の使われ方にどのような変化があったと感じられていますか。



リモートワークの普及による出張や通勤需要の減少という変化は、経営的にも非常に厳しい変化です。一方、リモートワークが普及することで、それでは代用できないリアルの価値も再認識されたと思います。たとえばアイデアをぶつけ合う会議などは、WEB での代用が難しいです。また、旅行もやはり現地に行くことが必要です。コロナ禍で起こった変化に対応しながら、「新しい価値」をお客様に提供できるよう、グループ全体で総力を挙げて取り組むことが重要だと考えています。
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