s**t kingz15周年、忘れられない“出会い”の数々 「ゼロから作り直した」2年越しの新作舞台へ

s**t kingz15周年、忘れられない“出会い”の数々 「ゼロから作り直した」2年越しの新作舞台へ

 ダンスパフォーマンス・グループ「s**t kingz(シットキングス)」の結成15周年を記念した新作舞台『HELLO ROOMIES!!!』が9月14日の東京公演で幕を開ける。4年ぶりの新作舞台は、2020年上演予定で新型コロナウイルスの影響で上演を断念していた舞台を大幅にブラッシュアップ。人形のA子を主役に迎え、“心のゴミ”をテーマに「超踊る喜劇」を銘打ち、ダンスを軸にA子の葛藤を描いていく。舞台の開幕を控え、メンバーのshoji(持田将史)、kazuki(濱本和樹)、NOPPO(増田昇太)、Oguri(小栗基裕)に、2年越しの舞台に臨む心境や15周年を迎えて、今後かなえたい夢を聞いた。(取材・文:遠藤政樹)



【動画】『HELLO ROOMIES!!!』 テーマソング「TRASH TALK feat. Novel Core」MV



■現在のs**t_kingzの魅力を詰め込んだ新作舞台



――コロナ禍で一度は断念した『HELLO ROOMIES!!!(ハロー・ルーミーズ)』が2年越しで上演されますが、心境を聞かせてください。



【shoji】 やっと皆さんに見ていただけるなというところで、リハーサル中は脳みそを雑巾のように絞りながら作品を全力で作りました。とにかく無事に初日を迎えられることを切に願っております。



【NOPPO】 期待と不安が入り混じっていて、不安がすこし多いのですけど(苦笑)。不安が多い分、いろんなことにチャレンジしていることをリハしながら実感していました。新しいs**t kingzが生まれることを祈って、初日を迎えられることを切に願っております。



――上演が延期されたことにより、内容やコンセプトを練り直したり、何かブラッシュアップされたりした点はありますか。



【shoji】 ストーリーは全部変わりました。主役がA子という女の子であることだけが基軸で残っていて、それ以外の要素はほぼすべてと言っていいぐらいリニューアルしました。



 改めて舞台ができるとなり、2年前に面白いと思っていたことではなく、「今のs**t kingzがやって面白いと思うことをやろう」と、全員でアイデア出し含めゼロから作り直しました。すでに2年前の上演に向けてお願いしていた楽曲もありましたが一旦白紙にし、今のシッキンの魅力を詰め込もうと考えたのが今回の『HELLO ROOMIES!!!』。きっと自信作になると思っております。



――今の面白いことをやるという方向性は4人の総意だったのでしょうか?



【kazuki】 できなかった舞台をそのままやろうとは誰も言わなかったですね。劇的に何かがあったわけではありませんが、改めて話し合い始めたら、自然と何か新しいものを作ろうとなっていきました。コロナも含めいろんなことを感じる今の時代、ダンサーとしていろんなことにチャレンジしている自分たちの境遇も相まって、“心のゴミ”とか人生のことに対するテーマにシフトしたのかなと思います。



■さまざまな状況を経たたどり着いた心境をストーリーに反映



――皆さん自身は心のゴミというワードにどんな印象をお持ちでしょうか?



【Oguri】 テーマに据えてから、自分は心のゴミが溜まっているのか。溜まっているとしたらどう吐き出しているのか。いろいろ考えるようになりました。思っているよりイヤな溜め方をしていないし、体と心が連動しているから体が疲れていると心にゴミが溜まる感覚があるけど、元気だと少しイヤなことがあってもポジティブに受け取れる場合もあって。日々のコンディションや天気など、いろんな要素で心のゴミの表情が変わっていくのを感じました。



【kazuki】 ゴミと言われると良くないものという感じが飛び込んできますが、心のゴミに関しては、もしかしたら良いものかもしれない。全員あって当たり前のものだろうし、そのことをみんなが認識すれば気持ちも楽になるはず。心のゴミは持ちながら生活するのが当たり前といった話もメンバー間で出て、それをコメディでポップに伝えることがs**t kingzらしくて良い。ワードの重さよりも少し楽しく感じてもらえるものなのだと思います。



――今回の舞台では「夢」や「人生の選択」などを扱った内容となっていますが、グループとしても個人としても活躍されている現状で、今こうした題材に向き合う理由や意義について教えてください。



【shoji】 コロナ禍の自粛中は毎日メンバーがZoomでつながり、「s**t kingzって何だろう」「s**t kingzは何をやりたいのだろう」「s**t kingzとは」など、いろんな話をしました。そこで出てきた想いや悩み、迷いがリアルにA子の人生に反映されているところはあると思います。今までの作品で一番s**t kingzの価値観や考え方が思いっきり反映された舞台になっています。



【Oguri】 たしかにコロナがなければ『HELLO ROOMIES!!!』も違う形で2020年に上演されて、それはそれで素敵な作品になっていたと思います。一回ストップして考え直した結果、今の自分たちの気持ちを表現できる作品になると思ったので、ある意味良いタイミングだなとは思います。



【NOPPO】 ダンサーって将来ずっと食べていける保証もなく、コロナになり、漠然とした不安が余計に大きくなって。最近はいろいろな活動をさせていただく機会がたくさんあり、ダンスを盛り上げるため、ダンスをよりよく知ってもらうため、求められるものには応えたいと思っていますけど、100%自分たちがやりたいものではない面もどうしてもあります。そうやって人生を懸けて作品を作り、喜劇にして楽しくみんなに届けるのは僕たちにも意味がある。今回の舞台は、僕たちにとって良いきっかけになったと思います。



■15周年も意識しすぎず自然体 忘れられない出会いも



――結成15周年を迎えられましたが、どのように受け止められていますか。



【shoji】 不思議なのが、僕たちは勝手に集まって勝手にクラブでショーした日が初日なので、「デビューしました」「CD 出しました」「初めてワンマン開きました」みたいなこととはまた違って。だから10年目のときは、サプライズで祝ってもらって初めて気づいたぐらいでした(笑)。



【NOPPO】 感覚的に「俺たち友達15周年だよね」って言われているようなものかも(笑)。



【shoji】 本当にそう。中学校の友達から連絡が来て、「俺たち出合って20周年だぞ。集まって飲もうぜ」みたいな、その感覚に近いのかもしれない。続けてこられたのはいろんな方の支えがあってということを改めて感じるタイミングでもあり、本当にありがたいなと思っています。



――皆さんにとってはナチュラルで、日常の積み重ねの結果ということなのですね。では、これまでパフォーマンスや振り付けで数多くのアーティストと仕事をされてきた中で、特に忘れられない出会いやコラボをお一人ずつ教えてください。



【Oguri】 SKY-HI(日高光啓)かな。大学の同級生で、そのころからつながっていて、レコード大賞の楽屋で彼はAAAとして、俺はダンサーとして会えたことがありました。SKY-HIはどんどん活躍して今すごいですし、s**t kingzも積み重ねてきて、お互いリスペクトできる関係でいられるというのはうれしい。



【kazuki】 三浦大知ですね。s**t kingzにとって、まぎれもなく一番デカい存在だと思っています。まだ俺らが普通にダンスチームとして活動していたころ、クラブで見てバックダンサーに呼びたいと言ってくれて、そこからつながった縁です。今では珍しくないですが、当時の大知は特にダンサーを大事にしてくれるアーティストの一人で、ライブなどいろんな場面で俺らの名前を出してくれて、ファンの方に紹介してくれました。そこから僕らが舞台などをやると大知のファンの方が見に来てくれるようにもなったり、さまざまなステージに立たせてくれたり、活動の軸を広げてくれた意味でも恩人です。



【shoji】 Da-iCEかな。デビューのころから振り付けをしていて、彼らが初めてライブやるときに外部演出で入らせてもらい、初めてライブの演出したのがDa-iCEですね。本当にあの……ズブズブの関係(笑)。彼らのいろんな種類の楽曲への振り付けを通じて学んだものがたくさんありますし、彼らがパフォーマンをする規模感が上がったり広くなったりするのに合わせて振り付け内容が変わっていくことも含め、いろんなものを見せてもらいました。Da-iCEとの出会いは自分の中ではとても大きいですね。



【NOPPO】 自分はEXOかな。出会って振り付けさせてもらったことで、ダンスをあまり知らない人にも「EXO振り付けているのすごい」というきっかけで僕らの認知度が上がったり、仕事に対する信頼度がより高まったりした印象があります。当時も日本人でK-POP振り付けしている方はいましたが、改めて日本のダンサーに注目してもらえたことを考えると大切な出会いだったし、とても感謝しています。



■キャリアを重ねて感じるダンスへの向き合い方の変化



――ダンサーは年齢を重ねてできることが増える一方、身体の変化と向き合う宿命を背負っている面もあると思います。表現者として体や心のあり方の変化を感じることはありますか?



【Oguri】 ずっとダンスをやってきただけにダンスの可能性と同時に、「ダンスをこんなに頑張っているのに、こんなに響かないか」と、どこかダンスを信じられなくなる瞬間もこれまでにありました。ただ、最近ほかの人のライブを見ると、やっぱり自分にはダンスしかないと改めて思います。好きになる瞬間もあれば離れて、離れるとやっぱり戻りたくなる。ずっと付き合っている腐れ縁の恋人みたいな感覚(笑)。ダンスとはずっと続いていだろうし、結局ダンスが大事ですね。



【kazuki】 ネガティブな意味ではなく、一生懸命踊ることがはたして楽しいのかなって思うことはあります。そもそも何でダンスが好きなのか考えてみると、必死に踊っている自分が好きというより、ダンスを楽しんでいるときが素直に楽しい。昔は知識がなかったから力いっぱい踊ることしかできなかったけど、いろんなダンスやパフォーマンスを見てきて緩急のようなものにも魅了されました。誤解を恐れずに言えば“たしなんでいる”感が良いなと思う瞬間もあるので、自分のダンスを信じ、雰囲気を醸し出せるようなパフォーマンスがしたいですね。



適当にやるのは良くないですが、がむしゃらに必死に飛びつく年齢ではもうないからこそ、そこにカッコよさや楽しさを感じ始めています。



【NOPPO】 20代は体がキレキレで、「すごいダンスを踊れればOK」「一番カッコよく、一番奇抜なショーケースができればOK」みたいな感じだったかも(笑)。30代になってからは、より“s**t kingzのダンス”を押し出していこうという想いが強くなってきました。グループ以外の活動も多くなる中、s**t kingzとして目に見えて一番表に出るのはダンスなので、自分たちの存在を示すにはしっかり取り組むべきだと思います。その姿を見て若い世代が「すごいことやっているな」と少しでも感じてくれたら、その在り方がダンス界やダンス好きにとって良い影響を与えることができるはず。



【shoji】 基本コンプレックスのかたまりなので、特に若いころは自信がなかったためか、例えば悲しい表現も自分ができるマックスの悲しい表現、100%エネルギーを届けないと伝わらないと考えていた部分も、今振り返るとそんな感覚だった気がします。今は、そこにただいて、感じて、踊りで表現していくことをのぞき見てもらうことで、お客さんが「今この人はどう感じているのだろう」とか「何考えているのかな」というのを考えてもらう。お客さんに委ねられるようになり、自分の中での変化かなと感じています。



――最後にグループとしてまだ叶えてない夢、これから目標にしたいことを聞かせてください。



【Oguri】 いっぱいあるね。紅白歌合戦に出たい。



【shoji】 ダンサーとして、特別企画ではなく(出場者として)出てみたいし、ほかにも今までダンサーがやってこなかったことをたくさんやっていきたい。最終的にはs**t kingzとして教科書や卒業アルバムの年表に載るぐらいポジティブな事件を起こしたい。自分たちが想像したとき「無理かな」と思うようなことを実現させるグループになれたらいいなと思います。



『HELLO ROOMIES!!!』

shoji・kazuki・NOPPO・Oguriの4人で構成される、ダンスパフォーマンス・グループ s**t kingz(シットキングス/通称:シッキン)が結成15周年を記念して開催する舞台公演。



9月14日(水)に幕を開ける東京公演が続々と完売したことを受け、「凱旋公演」として11月29日(火)~12月1日(木)に新国立劇場 中劇場にて4公演を開催することも決定した。

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