「PB商品=二番煎じ」からいかに脱却したのか? “プライド”ブランドとしての価値

「PB商品=二番煎じ」からいかに脱却したのか? “プライド”ブランドとしての価値

 コンビニやスーパーがPB商品開発にしのぎを削っている。しかしながら、PB商品には、二番煎じ品、「安かろう悪かろう」といったカスタマーからのネガティブなイメージが根強いのも事実だ。だが『セブンプレミアム』では「セブンプレミアム ゴールド 金の直火焼きハンバーグ」に代表される『セブンプレミアム ゴールド』シリーズはSNSで「金のシリーズだけはガチ」などの声も上がっており、一つのオリジナルブランドとして確立された印象がある。この現状を同社担当者にぶつけると「『セブンプレミアム』は価格だけを訴求するPBではありません」との解答が返ってきた。



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■主語は“価値” ナショナルブランドに負けない商品を



『セブンプレミアム』が登場したのは2007年。『セブン‐イレブン』だけでなく、セブン&アイグループのそごう・西武やイトーヨーカドー、赤ちゃん本舗などグループ全体(※)で販売するPBとして開発された。



「当時のPBは安価な反面、品質面ではやや劣るというイメージがございましたので、セブン&アイでは、ナショナルブランドに負けない、しかもお求めやすい価格で“価値”を訴求した商品を提供していくべきだとの声が挙がり、徹底的に品質にこだわった価値訴求型PBとして『セブンプレミアム』を起ち上げました」



 現在、「セブンプレミアム」に加えて、「セブンプレミアム ゴールド」、果物や鮮魚などの「セブンプレミアム フレッシュ」、医療や生活雑貨の「セブンプレミアム ライフスタイル」、コーヒーやスイーツの「セブンカフェ」などの5つのブランドがあり、多岐にわたって展開されている。



「起ち上げ当初から、プライベートブランドではなく“プライド”ブランドだという意識を強く持って進めていき、我々が“プライド”を持ってお客様により良いもの、美味しいものをお届けしたいという気持ちで開発している商品です。開発には、商品にもよりますが、だいたい約半年かけ開発し、発売にあたっては、商品の価値を追求しながら、値頃感も意識した価格設定としています。価格も価値の一つとして、お客様に価値を感じていただけるよう取り組んでおります」



 さまざまな商品が好評だが、突出しているものの一つとして丁寧に骨抜き処理がされている「さばの塩焼き」がある。同商品についてはSNSやネット掲示板でも「美味しくてビビる」「脂が乗っててびっくり」など肯定的な意見が散見される上、その美味さの「検証サイト」が存在するほど人気だ。



■セブンイレブンでは全体の25%の売り上げ



 特に『セブンプレミアム ゴールド』に関しては、「そもそも我々が“美味しい”と思う商品しかセブンプレミアムにしないという強い信念がございましたので、そこからさらにワンランク上を目指すことには大きな試行錯誤を重ねました。一流の料理人と専門家の声を聞いて開発した商品ですが、15周年ということで新たなブランドステートメントを制定し、自信を持ってご提供出来る商品を今後も提供したいと思います。」」と気合が入る。



 それもそのはず。『セブンプレミアム』商品が注目されるきっかけとなった商品が『セブンプレミアム ゴールド』であり、今も人気のシリーズだ。それを維持することはもちろん、さらに上の“おいしさ”を追求することは並大抵のことではなかっただろう。そのほかにも、「銘店シリーズ」は、ある仕掛けを施した。たとえば2022年に発売された「セブンプレミアム ゴールド」の商品である『セブンプレミアム ゴールド 飯田商店 しょうゆらぁ麺』は店主に監修を受けたのはもちろん、蓋に二次元バーコードがあり、それを読み込むと動画がスタート。ちょうど麺が出来上がる頃に、数々のこだわりの説明が終わり、脳内で商品の価値が高まりきったところで食べるという工夫がなされている。



 まさに“価値”と“美味しさ”に振り切る思考。冷凍パスタ、冷凍たこ焼きなど「あれはガチ」と特別視するコメントが見られるなど、『セブンプレミアム』は確かに、セブン&アイの“価値”を高めている。



 当然、SDGs、フードロスなど社会問題についてもグループ全体で取り組んでいる。「現在日本は魚の消費量が減っています。そのような中、手軽に食べられる焼き魚などがコンビニで買えるという取り組みも進めています。生鮮食品はスーパーなどが得意ですので、スーパーとコンビニの商品開発者がチームを組み、グループの力を合わせて生まれた『さばの塩焼き』がご好評頂けているのはありがたい限りです」



 こうした生鮮食品を大量に扱うというのは第一次産業の生産者にとってはありがたい限りだ。それゆえに昨今問題となっている漁獲量についても配慮している。大規模な取り組みである分、大量消費と漁獲量、収穫量のバランスを取ることは困難。「自分達の利益を追求するばかりで生態系を乱してしまうことは、結局自分達の首をしめることになります。地球から資源を借りながら、生産者の皆様・メーカー様と本当の意味で”持続可能な”取り組みにしていく必要があります。」と真摯に向き合っている。



 こうした試行錯誤の結果、現在では「セブン‐イレブン」に関して言えば、『セブンプレミアム』商品は食品の売上の約25%ほどを占めている。(2020年度実績)



■見るのは、“競合他社”ではなく、“お客様”



 昨今は健康ブームもあり、「コンビニの食品は体に悪い」といったネガティブなイメージを払拭する取り組みも行っている。「パウチのポテトサラダなど、背面に記載されている表示を見て頂けると分かりますが、添加物などを可能な限り減らし、糖質などについてもアイコンでわかりやすく明示。使用する原料についても、安全・安心を心がけております」



 この取り組みでは『サラダチキン』のシリーズが真っ先に思い浮かぶが、さらに手軽にワンハンドでタンパク質が取れる『サラダチキンバー』も開発。これも大ヒットし、「15周年を機に、“セブンプレミアムはお客様に「こんなの欲しかった」と思っていただけるブランドになっていく”と再定義しています。ご期待を裏切らないよう、お客様のニーズを深堀し、現在も様々な商品を開発中です。」と自信を見せる。



 だが、こうした努力をしているのは何もセブン&アイだけではない。ローソンやファミリーマート、イオンなど競合他社もさまざまな“個性”で勝負をしている。



「しかし、我々が意識しているのは“競合を見る”ではなく、あくまでも“お客様のために必要なこと”。結果的に競合他社様も見ることにはなりますが、『セブンプレミアム』は “価値”が主語であり、お客様を一番に考えております」



確かに「安い」「量が多い」ということは客側からして見れば有り難いことかもしれない。だがそれで“安売り競争“になってしまうと業界の衰退を招くのはよく聞かれる話だ。現在は原材料などの高騰により物価が上がり、財布が厳しいという方も多いかもしれない。しかし、どんな時代であっても、その価格に見合った“価値”を創出するという根本的な部分は忘れないようにしたい。

(取材・文/衣輪晋一)



※一部の事業会社では取り扱いの無い場合がある
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