インドのキャプテン・アメリカvsアイアンマン? マーベル監督たちも絶賛の映画『RRR』の類似点

インドのキャプテン・アメリカvsアイアンマン? マーベル監督たちも絶賛の映画『RRR』の類似点

 世界のマーベルファンに支持される監督たちが絶賛の声をあげた、インド映画『RRR』が10月21日より日本で劇場公開される。本作の主人公ラーマとビームには、数あるマーベルシリーズの中でも極めて衝撃的な一篇『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のアイアンマンとキャプテン・アメリカを彷彿とさせるものがあるのだ。物語の背景、キャラクター、戦闘スタイルの3つの点で両作品の類似点を指摘したい。



【画像】炎のラーマと水のビームの場面写真



 『RRR』は、インドで公開初日の興行収入が約16億ルピー(約28億円)を記録し、『バーフバリ 伝説誕生』、『バーフバリ 王の凱旋』を超えて初日興収歴代1位になったのを皮切りに、爆発的に大ヒット。世界でもオープニング興収5400万ドル(約74億円)を叩き出し、北米では公開当時、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』、『アンチャーテッド』等、ハリウッドのメジャー大作を上回るほど注目を集めた。



 『ドクター・ストレンジ』のスコット・デリクソン監督は、自身の誕生日に妻子と一緒に『RRR』を観て「楽しかった」と、虎が飛び掛かってくるシーンのGIFをSNSで共有。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン監督も「Totally dig it.(完全にのめり込んだ)」とツイートした。



 『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』を成功に導き、『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』でもメガホンを任されたルッソ兄弟に至っては、自分たちが手がけたNetflix映画『グレイマン』のプロモーションでインドを訪れた際、『RRR』のS.S.ラージャマウリ監督に敬意を込めて、「すばらしい映画でした。力強いテーマ、すばらしいビジュアル、そしてブラザーフッドの物語を備えた、本当によくできた叙事詩だと思いました」とコメントしている。



■物語の背景



 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、アベンジャーズによる戦いが多くの人々を救う反面、その人的・物的被害は膨大なものになり、ヒーローたちは政府組織の管理下に置かれる事態に。一般市民を危険にさらしたという罪の意識を持つアイアンマンと、自らの行動は自らが決めるべきという信念を持つキャプテン・アメリカは、それぞれの信念の違いから激しく対立し、“アベンジャーズ”を二分する戦いに発展してしまう。



 一方、『RRR』は、反英独立運動の炎が各地で燃え上がる1920年イギリス植民地時代のインドが舞台。英国総督に連れ去られた幼い少女を奪還するために、南インドの森からデリーにやってきた男ビームと、ある大志を持ってイギリス総督指揮下の警察官となったラーマはある出来事をきっかけに友情と信頼を深めていくが、ある事件をきっかけに対立することになる。



 世紀の対決とも言われたアイアンマンとキャプテン・アメリカの戦いが見どころの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』も、ラーマとビームが抱えているそれぞれの大志のため戦う『RRR』も、仲間でありながら戦うことを選ぶ。



 両作品には、大切な人を守りたい、平和で幸せに暮らしたい、という願いは同じであっても、それぞれの都合や利害が絡んでくると、意見や考え方が違ってくるという普遍的なテーマが根底にある。また、人一倍、揺るがぬ信念を持ち、自分の正義を追求するがゆえに、衝突した時のエネルギーはより巨大になり、激しい戦いになっていく展開に心を揺さぶられる点でも、両作品はとても似ているのだ。



■対照的なキャラクター



 合理的な理系タイプのアイアンマンと倫理的な人情タイプのキャプテン・アメリカは、マーベルヒーローの中でも好対照なキャラクターだった。責任感が強く、繊細な人物でありながら、普段はユーモア混じりの接し方で余裕を見せるアイアンマンと、真っ直ぐで優しい心を持ち、何があってもあきらめない芯の強さで数々の苦難を乗り越えてきたキャプテン・アメリカ。



 一方、『RRR』のラーマとビームも対照的なキャラクターだ。炎のように目標を成し遂げるためなら手段を選ばない熱い男ラーマと、水のように柔らかく人情深く正義のために突き進むビーム。同胞に対しても厳しく罰する忠誠心あふれるイギリス側の警察官になっても、プライベートでは友人のビームにさりげなく恋愛アドバイスをするラーマと、情に厚く優しさがあふれ出す人柄でありながらも、村の少女を助け出すためにスーパーヒーロー並みの力を発揮するビーム。



 両作品は、対照的なキャラクターの2人が衝突する姿や、その衝突を通して絆を深めていく展開で類似点が見られるどころか、『RRR』ではマーベルヒーローを意識してか、炎のような男・ラーマをアイアンマンを象徴する色の【赤】、水のような男・ビームをキャプテン・アメリカを象徴する色の【青】で表現。作品の中で登場する“色”の対抗も注目ポイントだ。



■戦闘スタイル



 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』をはじめ、歴代マーベル作品で堪能できたアイアンマンとキャプテン・アメリカの戦闘スタイル。アイアンマンは超天才科学者の能力を活かし、最先端技術を用いたパワードスーツでさまざまな攻撃スキルを披露。キャプテン・アメリカは、盾と強化された身体能力をフルに活かした豊富な攻撃スキルが特徴だった。



 一方、『RRR』で登場する2人は、時と場合によって思いも寄らない攻撃スキルを披露する。ラーマは警察官という職業柄も活かし、警棒や銃はもちろん、大志を果たす場面ではすさまじい跳躍力で弓を射るなど、さまざまな武器を用いて攻撃する。



 ビームは森の中で暮らすゴーンド族の不屈リーダーでもあり、虎やチーター、ヒョウなど、森の中で共生している猛獣らをパートナーにした前代未聞の作戦を敢行し、大型バイクをサッカーボールのように蹴り上げ振り回すという怪力も発揮する。



 『RRR』は、3時間近い超大作だが、ラーマとビームが出会い、“兄弟”のような友情を深めていった先で待っていた激突を、彼らを突き動かしている背景となる物語を織り交ぜながら描き、ド派手なアクションの連続となるクライマックスまで、マーベル作品の監督たちが絶賛したのもうなずける完成度。マーベル作品好きであれば、きっと、楽しめるはず。もちろん陽気な(?)ダンスシーンあり、歌でせりふ以上のものを伝えてくる場面もあり、インド映画らしさを堪能できる。
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