井上真央、燃え尽きた20代「本当は器用じゃなかった」 デビューから30年で“原動力”に変化

井上真央、燃え尽きた20代「本当は器用じゃなかった」 デビューから30年で“原動力”に変化

 5才で子役デビューし、今年で30周年を迎えた井上真央。『花より男子』の大ヒット後、朝ドラ『おひさま』のヒロイン、紅白司会、映画『八日目の蝉』では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。大河ドラマ『花燃ゆ』では主演を飾るなど、怒涛の勢いで国民的俳優としてのキャリアを重ねてきた。これまで幾度も「燃え尽きた」と感じたことがあったという彼女に、30年に渡り芸能活動を続けてこられた原動力を聞いた。



【写真】変わらぬあどけない笑顔&大人の魅力を放つ、35歳となった現在の井上真央



■感情表現が苦手な役柄に共感「心の奥に閉まっておくような部分が私にもある」



――11月11日公開の主演映画『わたしのお母さん』では、幼い頃から母親に苦手意識を持つ夕子を演じていらっしゃいますが、演じる上で準備したことはありますか。



【井上真央】 夕子は自分自身の気持ちを表には出さないので、彼女がどんな人物でどういう思いを抱え、どうして結婚したのかな、などひとつひとつ余白の部分を埋めていった感じですね。



――井上さんには明るく活発なイメージを持つ人も多いと思いますが、夕子にシンパシーを感じるところはありましたか。



【井上真央】 感情を自分の中で巡らせて考えたり、時には心の奥に閉まっておくような部分は私にもあるので、理解しやすかったです。



――お母さんのもとに駆け寄って腕を絡める妹と、そんな2人の後ろを少し距離をおいて歩く姉・夕子の対比が印象的でした。井上さんご自身は甘えるのが得意なタイプですか、それとも苦手ですか。



【井上真央】 私は得意ではないです。だから、この作品に出てくる妹のような柔軟さはいいなと思いました。私自身は長女で、強がったり、できる限り自分で頑張ってみようって思ったりする“長女気質”のところがあるので。ただ、妹の晶子は、姉と母親の微妙な距離感を見ているからこそ、距離のとり方を身に着けているのかもしれないですよね。



■「きっと鬱陶しいと思われています(笑)」“甘えられる存在”と理想の家族像



――甘えるのは得意ではない井上さんにとって、甘えられる存在とは?



【井上真央】 ペットですかね?(笑)。鳥を飼っているのですが、こんなに人に慣れるんだとか、頭が良いなぁと驚かされます。依存しすぎないようにしようと思いつつ、きっと鬱陶しいと思われています(笑)。



――どんな感じで接しているんですか?



【井上真央】 ものすごく絡みますね(笑)。もう少し放っておく方が良いんでしょうけど、つい色々やってしまいます。自分のことは「まあ、いいか」とすぐ思っちゃうのですが、植物も好きですし、何かを育てたり面倒を見たり、「成長」を見るのが好きなんですね。



――ご自身が、将来家庭を持つ想像をするときもありますか。



【井上真央】 友人に「こういうお母さんになりそうだよね」と言われることはありますが、自分ではあまり想像できないですね。この作品を通して母と娘の距離の深さを改めて感じました。



――井上さんが演じられた『少年寅次郎』(2019/NHK総合)のお母さん・光子を理想の母親像と思う人も多そうです。



【井上真央】 昭和のやさしくてあたたかいお母さんですよね。私の家族はあまりベタベタせず、何かあったら共有するくらいの距離感なので、私自身もそんな家族が居心地が良いなと思います。ペットの事とは矛盾してますが…(笑)。



■“誰かのため”だった原動力、デビュー30年で「少しずつ自分自身にも目を向けられるように…」



――今年でデビュー30周年を迎えられましたが、ターニングポイントと思われる時はありますか。



【井上真央】 難しいですね…。年代ごとにある気がします。10代の頃は学業を優先していたので、今とは違った意識でしたね。あの頃の若さや勢い、スピードでできたもの、例えば『キッズ・ウォー』(1999~2003/TBS系)も『花より男子』(2005/TBS系)も、どれが欠けても今はなかったと思います。



――幼い頃から学業と両立しながら俳優業を続けてきた中で、違う道を考えたり、迷ったりすることはなかったですか。



【井上真央】 迷いはしなかったですが、悩むことはありました。朝ドラ『おひさま』(2011)や、大河ドラマ『花燃ゆ』(2015)のように長い作品で一つの役をやり切った後は安堵や達成感で燃え尽きてしまうことはありましたし。20代の頃は期待に応えたいという思いで頑張ってきたところがありました。でも、30代になって本当は器用じゃなかった、「じゃあ、次」と切り替えるのが上手じゃないことに気がつきました。



――その気づきは、何かきっかけがあったのですか。



【井上真央】 案外、取材で色々お話しすることが、振り返ったり考えたりするきっかけになっているかもしれません。「30歳になって楽になった」という方は周りにも多いですが、自分自身を冷静に見られるようになり、誰かのため、何かのためというところから、少しずつ自分の好きなものへも目を向けられるようになった気がします。



――悩んだり、燃え尽きたりしながらも、この仕事を続けてこられた原動力は何だったのでしょうか。



【井上真央】 人に喜んでもらうとか、感動してもらうとか、もちろんそれも大事ですけど、何より自分自身が脚本を読んで、セリフ一言に心が揺れたり、役を通してその人が見えたり、自分の中で何かしらの発見があったりする、そうした感動の積み重ねが原動力なのかなと思います。



――そんな井上さんが、今後挑戦したい役柄はありますか。



【井上真央】 今回が静かな作品でしたので、明るくポップな作品や大人のファンタジーも良いですね。





(取材・文=田幸和歌子)
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