沢田研二の「すごい覚悟」 中江裕司監督が明かすキャスティング秘話

沢田研二の「すごい覚悟」 中江裕司監督が明かすキャスティング秘話

 公開中の映画『土を喰らう十二ヵ月』の中江裕司監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に初登場。主演の沢田研二のキャスティングに関して、驚きの経緯を明かした。



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 同映画は、水上勉が1978年に発表したエッセイ『土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月』が原案。長野の山奥に一人で生活する男の姿を通して、大自然の美しさはもちろんのこと、その自然の恵みを“食べること”や、人間の生と死というものまでを描いている。作家であり、自給自足の生活を送る主人公・ツトムを沢田が、その恋人役を松たか子が演じ、西田尚美、尾美としのり、瀧川鯉八、檀ふみ、火野正平、奈良岡朋子らが脇を固めている。さらに、同作で初めて料理研究家・土井善晴が“映画の料理”に挑んだ。



 企画の経緯について中江監督は、「2019年に公開された『盆唄』という作品の制作中に、現実逃避のために新宿に出かけ、本屋さんで本を物色していると、水上さんの『土を喰ふ日々』が平積みになっていて。僕は高校生か中学生くらいのときから、水上さんの小説を読んでいました。だけど、この本は知らなかった。それで手に取って読んでみたら、すごく面白かったんです。水上さんが山で暮らして、子どものときに禅寺で修行していたときに学んだ精進料理を60歳を超えてから作ってみたと。そのときの感触であったり、食との向き合い方みたいなことが一月ずつつづられています。エッセイですから物語はありませんが、水上さんの人生が匂い立つのを感じました。水上さんをモデルにしたツトム像が本当に面白くて、すぐに(脚本を)書き始めました」と振り返った。



 沢田のキャスティングについては、「主人公のツトムは60代後半の人物ですが、色気がある方じゃないと務まらないと思いました。そこで、日本でもっとも色気のあるこの年代の方は誰かといえば、やはり沢田研二さんですよね。先日亡くなられた、僕の育ての親のような存在であるプロデューサーの佐々木史朗さんに相談し、お会いさせてもらえることになりました」と、中江監督自ら直談判しに行ったことを明かす。



 そこで、沢田から言われたのは、「僕をオーデションしてくれないか」と言うものだった。



 中江監督は「オーデションされるのはこっちだと思っていました。でも、違ったんです。『私の姿をよく見てください。昔の沢田研二を期待して来られていると思いますが、いまの私はこんな姿です。これでいいですか?』とおっしゃられた。『いまの姿を画面にさらしたいと思っています』とも口にしているのに対して、すごい覚悟だなと。とても誠実な方です。ぜひともお願いしたいと思いました」と、明かした。



 番組MCは、文筆家・折田侑駿が担当。中江監督は、現場での沢田の様子や、料理研究家・土井善晴が関わった映画内の“料理”や土井とのやり取りなども詳らかに明かしている。映画ファンのみならず、食に関心のある人や、自然を愛する人にとっても必見の収録回となっている。

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