監督・是枝裕和×脚本・坂元裕二、夢のコラボが実現 映画『怪物』公開決定

監督・是枝裕和×脚本・坂元裕二、夢のコラボが実現 映画『怪物』公開決定

 映画『万引き家族』(2018年)でカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞した是枝裕和監督と、『花束みたいな恋をした』(21年)などの脚本家・坂元裕二の初タッグによるオリジナル映画 『怪物』 が、東宝とギャガ共同配給で、来年(2023年)6月2日に公開される。



【画像】是枝裕和、坂元裕二の宣材写真



 撮影は2022年の春と夏に終え、現在ポストプロダクション中。この度解禁されたのは、森の中を走る2人の子どもたちのイノセントな写真。作品タイトルの怪物とはいったい何か。この2人の子どもたちがどのような物語を紡いでいくのか。坂元が書き下ろした脚本を、是枝監督がどのように映像表現しているのか。続報が待たれる。



 日本屈指の映像作家とストーリーテラーのコラボレーションについて、是枝はかねてより坂元の手腕に羨望と畏敬の念を抱いておりファンだったことを明かし、協業についてはどこかあきらめていたが、「夢が叶った」と伝えている。



 一方、坂元は、是枝作品の脚本を監督以外の人が書くことについて、無理に決まってると考えていたこと、是枝は憧れの存在のような人であり、嫉妬めいた思いの対象だったこと、その気持ちが少しずつ変化し、今回の映画作りに至ったことについて触れつつ、今作が「自分を好きになれない誰かへのエールになるといいなと思っている」とコメントを寄せた。



■是枝裕和監督のコメント



 基本的には自分の映画は自分で脚本を書いてきましたが、誰か脚本家と組むなら誰が?という質問には必ず「坂元裕二!」と即答してきました。それは、そんなことは自分のキャリアには起こらないだろうとどこかであきらめていたからです、きっと。夢が叶ってしまいました。



 こんなことを言うと坂元裕二ファンには怒られるかも知れませんが、加害者遺族、赤ちゃんポスト、子どもたちの冒険旅行、疑似家族と、同じモチーフに関心を持たれている方だなと親近感を抱いておりました。もちろん作品になるタイミングは前後していますし、扱い方は全く違うのですが、それでも彼と自分は同じ時代を生き同じ空気を吸って吐いているんだと感じていました。そして、何より、その題材をとてつもなく面白いものに着地させる手腕には、羨望と畏敬の念と両方を抱いておりました。



 今回は、縁あって共同作業が実現してしまいました。監督としてこの素晴らしい脚本とちゃんと勝負しなくてはいけないと、ファンであることは隠したつもりだったのですが、恥ずかしながら、バレバレだったと思います。まだタイトル以外は明かせませんが、誰よりもこの作品の完成が待ち遠しいです。



【プロフィール】

1962年6月6日、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。2014年に独立し制作者集団「分福」を立ち上げる。1995年に『幻の光』で監督デビューし、その後も『誰も知らない』(2004年)、『そして父になる』(13年)、『海街diary』(15年)等、数々の作品を世に送り出す。18年の『万引き家族』は、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、そのほか多くの映画賞を受賞した。19年の『真実』は国際共同製作作品として海外の映画人とのセッションを本格化させ、22年には初の韓国映画となる『ベイビー・ブローカー』で、第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品、エキュメニカル審査員賞を受賞。また主演のソン・ガンホが韓国人俳優初となる最優秀男優賞を受賞した。



■坂元裕二のコメント



 是枝作品の脚本を是枝さん以外の者が書くと聞くと、観客の方はどのように思われるのでしょう。わたしは、「え、そんなことはありえるの? 無理に決まってるでしょ」派です。是枝監督は世界一の脚本家でもありますから。しかも撮影現場で俳優やスタッフと対話しながら脚本を作っていくタイプの監督です。そんな仕事を引き受けた脚本家がいたら、身の程知らずだなと苦笑いするはずです。まったくもって愚か者ですね。



 是枝さんは学年もクラスも違っていて話したこともないけど、時々廊下で目が合ったり、持ってるものを見て真似して手に入れたくなる、憧れの存在のような人でした。あんな人になりたかったな、なれなかったな。いいな、羨ましいな。そんな嫉妬めいた思いの対象だった是枝さんが、『海よりもまだ深く』という映画の作中やインタビューで「こんな自分になりたいわけじゃなかった」と語られていて、驚きました。是枝さんの秘密をちょっと知ったような気になりました。



 誰だって多かれ少なかれ自分に納得いかなくて、こんなつもりじゃなかったと思いながら生きていて、どこかで折り合いをつけようとするけど、良いこともあれば悪いこともある。自分のことがあまり好きじゃなかったりする。廊下の向こうにいる是枝さんのことを見かけるたびに、「僕もそうなんだよね」と心の中で勝手に話しかけてみたりする、そんな存在に変わって、この映画もそんな風にして作っていきました。自分を好きになれない誰かへのエールになるといいなと思っています。



【プロフィール】

1967年生まれ、大阪府出身。19歳で第1回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞しデビュー。『わたしたちの教科書』(CX)で第26回向田邦子賞、『それでも、生きてゆく』(CX)で芸術選奨新人賞、『最高の離婚』(CX)で日本民間放送連盟賞最優秀賞、『Mother』(NTV)で第19回橋田賞、『Woman』(NTV)で日本民間放送連盟賞最優秀賞、『カルテット』(TBS)で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。近年の作品には『anone』(NTV)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(KTV)、『初恋の悪魔』(NTV)などがある。映画では、行定勲、伊藤ちひろとの共同脚本で大ヒットした『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、菅田将暉、有村架純主演の『花束みたいな恋をした』等があり、作詞家としては、松たか子の「明日、春が来たら」などの曲を書いている。2016年より東京藝術大学大学院映像研究科映画表現技術脚本領域教授。
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