(sic)boy/tonun/ao/Tele、四者四様のボーカリストが魅せた“新時代”  『Spotify Early Noise Night #14 Tokyo』

(sic)boy/tonun/ao/Tele、四者四様のボーカリストが魅せた“新時代”  『Spotify Early Noise Night #14 Tokyo』

 音楽イベント『Spotify Early Noise Night #14 Tokyo』が25日、東京・渋谷のSpotify O-EASTにて開催され、(sic)boy、tonun、ao、Teleという気鋭のシンガー・ソングライター4人が登場した。



【写真】気鋭シンガー4人がそろい踏み『Spotify Early Noise Night #14 Tokyo』



 同イベントは、音楽ストリーミングサービス「Spotify」が定期的に開催しているショーケースライブであり、これまでにあいみょんやSTUS、CHAI、向井太一などが出演。今回は2年半ぶり、14回目の開催となった。



■現役高校生アーティスト・ao、貫禄すら感じさせる圧倒的なステージング



 トップバッターとして登場したのはao。スクエアなドラムとギターリフが響く中、細かい符割りで言葉を詰め込むライミング的技法と、伸びやかなフェイクを共存させた「チェンジ」で魅了していく。続く「余所見」では、チェストボイス/ミックスボイス/ファルセットがシームレスに行き来するボーカルワークを見せつつ、それによって生まれる心地好いメロディーの揺れ方とバックビートによって民族音楽のような匂いも漂わせた。



 冒頭の2曲で貫禄すらも感じさせたaoだが、MCになると「今高校1年生で、きょうは学校から直接ここに来ました。こんな素敵なイベントに呼んでいただいてうれしいです」と初々しさも見せる。しかし、パフォーマンスが再開された瞬間、会場は再び独自の音像へと没入。アコースティックドラムとスネアパッドを組み合わせたハイブリッドセットから繰り出される“人力EDM”に乗せ、「リップル」と「noTHANKYOU」を立て続けに披露した。



 後半では「11月30日にリリースする新曲を歌わせていただきたいと思います。今日が初公開になるので、聴いてもらえるとうれしいです」と切り出し、新曲「瞬きと精神と君の歌と音楽と」をパフォーマンス。ライブサポートを務めたMOP of HEADのGeorge [Machine]が奏でるピアノとともに、aoはしっとりと言葉を紡ぎ出していく。ここまでに見せてきたアンビエントさや、オートチューンをかけた無機質さとは異なり、温かみと切なさをたたえた歌声で観客を魅了した。



 ラストナンバーの「you too」では、ゆったりとしたサンバビートの中で絶妙なバウンスフィールを表現。それに呼応してフロアから自然とクラップが沸き起こる中、aoは笑顔を見せながら<僕達の日常が繋がって 未来として待ってるんだ>と高らかに歌い上げた。



■谷口喜多朗のソロプロジェクト=Tele、言葉とサウンドで感情を提示



 続いて登場したTeleは、谷口喜多朗 [Vo&G]の「ハロー、東京。あなたたちの体を僕に預けてください」という言葉とともに、「バースデイ」からライブをスタート。「夜行バス」では、軽快なバンドアンサンブルと少年のような歌声で爽やかなサウンドを打ち出しながら、時に儚げに、時にエモーショナルにシニカルな歌詞を叩きつけていった。



 中盤では「きょうは声が出せないので、聴覚じゃなくて僕の“視覚”に飛び込んできてくれたらうれしいです」と伝え、手にしていたギブソンSGを置いたハンドマイクスタイルで「花瓶」を披露した。谷口は抑揚を活かした歌唱やメロディーラインのみならず、全身でも楽曲を表現していく。さらに、「Veranda」では客席に向かって「いっぱい、一緒にクラップをしましょう」と語りかけ、観客も大きな手拍子でライブの楽しさを“視覚的”に表現した。



 谷口が再びギターを手にした「東京宣言」や「comedy」では、感情の出力先がピッキングのニュアンスやギターサウンドに移行した。それが顕著に現れたのはクロージングの「ghost」。イントロでは、スプロ製コンボアンプ特有の温かみを活かすようにフィンガーピッキングスタイルに変えつつ、透き通るようなクリーンボイスを披露。



 しかし、曲が進むにつれピック弾きに戻り、終盤ではギターの歪み量もバンド隊の熱量も最高潮に。最後に谷口は鬼気迫る表情でギターをかき鳴らし、ラストトーンを待たずに客席へ一礼してステージを後にした。



■tonun、ボーカリスト/ギタリストとしての実力を魅せつけるパフォーマンス



 バンド隊が中毒性の高いリズムを叩き出す中、静かにステージへと姿を現したtonun。オープニングの「東京cruisin'」から、AORやシティーポップ、ヒップホップ、ブルース、ジャズ…と、枚挙にいとまがないほどの音楽的エッセンスを感じさせながら、甘くスモーキーな歌声で観客の耳を奪っていった。



 その後、「すみません、MCするのを忘れていました」と微笑ましいハプニングも自ら明かしたMCでは、「たくさんの方が来てくださって…ありがとうございます」と感謝しつつ、「今まで音源でしか聴いたことがなかったっていう方も結構いると思うんですけど、よかったら生のライブを楽しんで帰ってください」と力強く伝えた。



 「真夏の恋は気まぐれ」「今夜のキスで」では圧巻のボーカライぜーションを惜しみなく発揮。中低音域を強く聴かせる太めの声質を軸にしながら、ブレスの加減で時に繊細に色気を漂わせ、時にパワフルに聴かせていく。



 一方、「Sweet My Lady」と「琥珀色の素肌」では、SSHのピックアップ配列を持つサー製STスタイルを握り、ギタリストとしての実力もアピール。「Sweet My Lady」ではサムピングを採り入れたフィンガーピッキングで魅了し、「琥珀色の素肌」のギターソロではトレモロピッキングや泣きのチョーキングなども繰り出した。



 最後の「Sugar Magic」では再びハンドマイクスタイルへ戻ったtonun。スネアの音が曲中で変化するというギミックもあった4つ打ちのビートに乗せ、グルーヴィーなボーカルワークで観客の体を揺らしていく。これにオーディエンスはハンズアップで応戦し、会場がしっかり一体となったところでライブを締めくくった。



■音楽性も歌唱スタイルも自由自在。(sic)boyが魅せる“本当のミクスチャー”



 同イベントのトリを飾ったのは(sic)boy。1ボーカル+1DJ形態らしく、冒頭の「Akuma Emoji」からシームレスに曲をパフォーマンスしていく。ボーカルスタイルもそれと同様に、アタックを強めたライミングや美しいメロディー、激烈なシャウト…と、曲ごと/バースごとにシームレスに変化させた。



 未発表曲「dark horse」まで一気に駆け抜けた(sic)boyは、「2年ぶりに開催されたって聞いて、コロナからこんな年月が経っているんだって気づいたりもした」と回顧し、「やっとこうやってパンパンに人を入れてライブができる状況になって、すごくやりやすいです。ありがとうございます」と伝えた。



 真剣な眼差しで思いを口にしつつ「アツいッスね」と笑顔も見せながら、(sic)boyはリリースされたばかりの新曲「Afraid??」からライブを再開。ロックとヒップホップ、オルタナティブ、エモ、ラウドロックなどを巧みに融合させるトラックメイキングはもちろん、自身の歌唱力も余すところなく打ち出していった。



 ライブ冒頭からハンドマイクでの歌唱を軸にしつつ、「living dead!!」や「Last Dance」ではマイクスタンドを用いて魅せるなど、パフォーマンス面でも存分に楽しませた。ロック色の強い楽曲でマイクスタンド、ヒップホップ色の強い楽曲でハンドマイクという使い分け方になっているのかと思いきや、ライブが進むにつれて両者の垣根はなくなっていく。そういった音楽スタイルの自由さすらも表現するかのように、(sic)boyはステージ上を自由自在、縦横無尽に動き続けた。



 ラストを飾ったのは、(sic)boyの名前を全国区へと押し上げたスマッシュヒットナンバー「Heaven's Drive」。心地好いフロウとライムが観客のハンズアップを呼び、会場が大きなグルーヴに包み込まれる中でイベントは終幕した。



■『Spotify Early Noise Night #14 Tokyo』セットリスト



【ao】

01. チェンジ

02. 余所見

03. リップル

04. noTHANKYOU

05. 瞬きと精神と君の歌と音楽と

06. you too



【Tele】

01. バースデイ

02. 夜行バス

03. 花瓶

04. 東京宣言

05. Veranda

06. comedy

07. ghost



【tonun】

01. 東京cruisin'

02. Sweet My Lady

03. 真夏の恋は気まぐれ

04. 今夜のキスで

05. 琥珀色の素肌

06. Sugar Magic



【(sic)boy】

01. Akuma Emoji

02. 爆撃機

03. living dead!!

04. Ghost of You

05. 落雷

06. dark horse

07. Afraid??

08. 眠くない街

09. (stress)

10. Last Dance

11. Heaven's Drive
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