恋に導く映画講義 『王様と私』~恋愛は異文化コミュニケーション~

恋に導く映画講義 『王様と私』~恋愛は異文化コミュニケーション~


交流することで互いを知る


恋愛では、味の好みや生活スタイル、金銭感覚といった価値観など、互いの違いが衝突の原因となることがあります。


それもそのはず、人は皆、生まれた家も年代もまちまちだから。例え同じ地域出身の同年代の人同士でも、生活習慣がまるっきり一緒という人はいないと言っても過言ではないでしょう。バックグラウンドが異なるからこそ、交流することで互いについて知っていきます。


人と人との交流は、程度の差はあれ、異文化コミュニケーションであります。


では、異文化コミュニケーションのコツとは何でしょうか。


西洋と東洋の異文化コミュニケーションを描いた傑作が、ブロードウェイミュージカル版に渡辺謙さんが出演することでも話題となった『王様と私』。1956年に製作された映画版はアカデミー賞5部門に輝きました。そんな『王様と私』から、そのコツを探っていきましょう。


 


(1)恐れず飛び込む


19世紀中頃、王室の子どもたちの教育係としてタイ王国にやってきた未亡人のイギリス人女性アンナ。タイに到着し、船にやってきた人々が裸足であることや公共の場でも男性が上半身裸でいることにカルチャーショックを受けながら、異文化の地に飛び込んでいきました。


仕事とはいえ、ようやく女性の社会進出が進んできた時代に幼い子を抱えて異国に飛び込むのは相当の勇気が要るはず。


アンナは王室の人々となじんでいくつれ、イギリスにいるときには単なる遠くの国でしかなかった地の魅力を知り、親しみを感じていきます。


まずは勇気を出して新しく出会わないことには、新たな交流は生まれません。


14090438714_8c75e59ab4_h


(2)違くて当たり前。互いの違いを知る


人は一人ひとり、抱えている事情も背景も考え方も異なります。タイの人々が裸足だったり男性が上半身裸でいるのも蒸し暑い気候が関係しているし、そういう気候だから子供たちは空気中の水分が凍って雪が降るのを信じられません。


王様は一見粗野に見えますが、国を束ねる絶対的な存在であり威厳を保たねばならない立場であり、情緒豊かで相手の行いをしっかり認めることのできる面を知ると見方が変わってきます。


相手のことを受けとめまたこちらのことを伝えることで、相手や自分自身への理解を深め、視野を広げることにもなります。


 


(3)相手も自分も尊重する


アンナは給金の他、宮殿の外に家を用意してもらうことを条件に教師の仕事を引き受けましたが、王様は宮殿内の一室をあてがいました。タイで絶対的な存在である王様といえども、アンナは約束をたがえたことを恐れず指摘します。


一方王様も、自国のしきたりとして王様よりも頭が高いのは礼儀に反するとアンナに徹底して言い続けます。


どちらかが従属するのではなく、ポリシーを持ち続けた上で折り合いをつけていく二人。衝突することもしばしばですが、相手の習慣や考えも自分のポリシーも尊重する自立した関係は、身分を超えて対等であります。


イギリス大使を招いての晩餐会で披露された『アンクル・トムの小屋』の寸劇は、アメリカで生まれた物語にタイの伝統舞踊が見事にマッチし、独創的だと大絶賛されます。これもうまく折り合いをつけられた一例でしょう。


couple-1343944_1920




一人ひとり、文化が異なるから魅力的


こうして衝突を繰り返しながら少しずつ惹かれ合っていくアンナと王様。二人が『Shall we ダンス?』の曲に乗せ踊るシーンは、映画史上に残る名場面の一つです。


一人ひとり違うからこそ、魅力が生まれます。違いを恐れずしっかり相手も自分も受けとめて歩み寄る二人のように、異文化コミュニケーションを意識し関係を築き上げていきましょう。




(仲世キコ/ライター)


カテゴリ