『NARUTO』幸せな幻を見続けることは悪いことなの? もしリアルを捨て二次元に逃げられるとしたら? 『テイルズオブベルセリア』(TOB)

今回は、アニメを題材にちょっと難しい話を考えてみようと思います。たまにはそうやってアニメを楽しむのもいいですよね。決して、『テイルズ オブ ゼスティリア ザクロス』というテイルズのアニメがやっているから、便乗しようというわけではないです。


『NARUTO』をジャンプで追っていた頃から気になっていたことがあったので、この機会にぶちまけてみようと思っただけなのです。


まあ前置きはこのくらいにして、始めましょう。


■理想的な幻術世界に落とし込む技――「無限月読」

今回のテーマのキーになるのは、「月読」という術です。「月読」(ツクヨミ)とは、漫画・及びアニメの『NARUTO』に登場する幻術です。


対象に自分の目を見せることでかけることの出来る術で、時間・空間・質量といったあらゆる物理的要因をコントロールした、術者の思い描く世界に相手を落とし込むというものです。


要は、術者の管理する世界に相手を引きずり込むということです。


幻術とは言いますが、その幻の世界の中で相手を殺せば、現実の相手も仕留めることが出来ます。


そんな凄い「月読」の上位技が、「無限月読」です。これは、地上に存在する全ての人間に術をかけ、まとめて幻術世界に引きずり込む術です。


と書くと物騒な術なようですが、使い方次第です。


「無限月読」によって対象の望む世界を見せれば、それは幻だけども、術をかけられた相手にとって心地良い世界になるのです。


その世界では、死んでしまった友人や家族も普通に生きているし、仲良くなることのできなかった人物と親友になることだって出来ます。


実に都合のいい世界です。


■「無限月読」は幸せになれるの?

『NARUTO』に登場する”うちはマダラ”という人物は、この幻術を用いいて「月の眼計画」を実行しようとしました。


簡単に言えば、すべての人間を”夢のような幻術世界”に招いて、そこで理想的な生活をしようという計画です。


その世界では、親しい人の死や戦争といった、悲しい出来事をすべてウソにしてしまうことが出来ます。


所詮は幻――と思うかもしれませんが、覚めない夢や幻は現実と同じです。『新世紀エヴァンゲリオン』に出てくる「人類補完計画」とも通じますね。


あなたは思ったことがありませんか?


「この夢が覚めないといいのに」


「好きな夢をずっと見ていたい」


「二次元の世界に入り込みたい」


と。


そう、「無限月読」ならきっと、二次元の世界で大好きなキャラクター達に囲まれることだって出来るのです!!


多分。


 


けれど、残念ながらこの計画には、幻術にかけられた人間の身体は養分にされる――という欠点がありました。でも、もし……その欠点がないとしたら?


幻術世界で傷つくことも争うこともない毎日を生きている間、現実世界での肉体も冷凍睡眠とかで安全に保存されるとしたら。


もしくは、肉体が滅びても、永遠に幻術世界で意識を彷徨わせられるとしたら。


筆者は以前、似たようなことをテーマにした本を書きました。『ガンズバースト・オンライン』というライトノベルです。身体を捨てデータになった人間達が仮想世界で永遠に暮らしている、という世界の話なのですが――あまり説明をすると宣伝みたいになってしまうので、『NARUTO』の話に戻します。


要するに、身の安全が保証され、永遠に(歳も取らず病気にもならず)偽りの幸せな世界に浸っていられるとしたら、わざわざ現実世界で苦労をする必要はあるのだろうかという話です。


■考えられる「無限月読」の欠点

永遠に幸せな世界を生きられることにデメリットがあるとすれば、以下のようなものでしょう。


幸せだと感じている自分の感情が、本当に自分のものかどうか証明できない
幻術にしろデータの身体にしろ、その世界を管理している存在がいるわけです。「無限月読」でいうところの、術者です。自分の身体すら思いのままにされるとしたら、その理想的な世界を「幸せだ」と感じている自分の気持ちも、そう思うように仕向けられているだけかもしれません。


それを怖いと感じるのか、証明できないのならどうでもいいことだ、と考えるのか。


あなたはどちらしょう。


支配されている世界だから、管理者のさじ加減で世界は壊れる
世界と自分を支配している管理人がいる限り、その者の気分次第で全ては無に返ります。崩壊の恐怖に怯え、管理者(術者)の顔色を伺うような毎日が待っているかもしれません。


良くしてくれる相手はみんなニセモノ
幻術によって生み出された世界なので、自分に好意を抱いてくれるすべての人間は、そうなるように生み出されたニセモノです。それを、本物の愛や感情じゃないから気持ち悪いと感じるのか、はたまた嘘でもいいから愛されたいと思うのか。


仮に幻術世界にいるみんなが本物だとしても、彼らが「俺は本物だ」と主張したところで、それが術によって生み出されたニセモノではないと、誰に証明が出来るのでしょう。


それでも、現実を辛いと思っている人はいます。だから幻に逃げる。それは、果たして悪いことなのでしょうか。


■アルトリウスの掲げた正義

『テイルズオブベルセリア』に登場するアルトリウスという男は、“個”よりも“全”を優先する考えの持ち主です。彼は人々から感情を消し去り、そうすることで争いのない世界を創ろうとします。


辛いと思う気持ちもなくなるけれど、嬉しいと思うと気持ちもなくなってしまいます。けれど、みんながそうなってしまえば違和感なんて感じようがありません。


ある意味究極の救済です。


「無限月読」の世界とは少し違いますが、辛いことや嫌なことから逃れられるという点では同じです。これはこれで、楽で素敵な世界かも?


アルトリウスにも、うちはマダラにも、理想とする世界のあり方や正義があります。家族や恋人など、大切な人が身近にいる人ほどこの考えに否定的になるのではないでしょうか。けれど、現実の環境、もしくは自分の体や心に不満や問題を抱えている人にとっては、救いの道でもあるかと思います。


難しい問題ですよね。


事前に、ちょっと投票もしてみました。参考までにどうぞ。



夢や幻術の世界でずーっと幸せになれるなら#NARUTO#夢#幻#理想の世界


— 星崎梓@新作準備中ですわ (@hosiazuazu) January 22, 2017





辛いことをなくしてしまう世界。それは果たして悪いことなのか。


あなたはどう思いますか?


『パプリカ』夢の世界を探偵したくなる大人向けSF映画





(あにぶ編集部/星崎梓)
カテゴリ