Morfonica、念願の1stアルバムに込めた3年分の思い 歌唱&演奏面で目指す進化
アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど、さまざまなメディアミックスを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』から生まれた第4のリアルバンド・Morfonica(モルフォニカ)が、3月15日に1stアルバム『QUINTET』をリリース。【写真】“憧れ”のアルバムリリースを実現させたMorfonica ORICON NEWSは同作の発売に際し、メンバーの進藤あまね(ボーカル/倉田ましろ役)、西尾夕香(ベース/広町七深役)、mika(ドラム/二葉つくし役)にインタビューを実施。初のアルバム作品に込められた思いを聞いた。■バンド始動から3年…ついにたどり着いた“アルバム”への並々ならぬ思い――Morfonicaが始動してから3年、バンドとしてどんな成長を感じていますか?【進藤】メンバー同士の絆が強まったと思います。ライブについてもたくさんアツく話せるようになりました。あと、最初は「先輩たちに追いつきたい」という姿勢だったんですが、徐々に「負けたくない」という気持ちも芽生えてきました。【西尾】私個人としてもベースは初めて触る楽器でしたし、始動した当時は「先輩たちの足を引っ張らないように…」という意識がどうしても強かったんです。もちろん先輩方にはまだまだ追いつけないんですが、何度もライブを重ねてきて、「もう少しで隣に立たせていただいてもいいのかな」と思えるようになってきました。【mika】始動してすぐにコロナ禍になってしまって、正直なところ不安もありました。でも今振り返ってみると、そういう状況で生まれたバンドだからこそ、みんなが体験したことのない事態にチームで立ち向かえたんだと思いますし、その中で絆を強くしていけた感覚があります。――そんな中、1stアルバム『QUINTET』がリリースされます。【進藤】素直に、「もうアルバムが出せるくらい曲が増えたんだな…」とうれしかったです。私は昔からバントリーマーの1人として「バンドリ!」を追いかけてきましたが、最初にPoppin'PartyさんやRoseliaさんがアルバムを出すと聞いたときは本当にうれしかったので、Morfonicaとして活動を始めてからもアルバムを出すことはずっと憧れでした。【西尾】アルバムには収録されないカップリング曲などもあって、それくらい曲数が増えていたんだなと感動しました。ライブでの思い出やゲームで初めて聴いたときのストーリーがフラッシュバックしてきて、すごくエモい気持ちになりましたね。【mika】変な言い方になっちゃいますが、アルバムって“アルバム”なんだなと感じました。Morfonicaが走ってきた3年間って、あまねちゃんの高校生活丸ごとなんですよ。だから、あまねちゃんの成長も含めて1曲1曲にたくさんの思い出があって。アルバムを通して3年間を思い返せたり、先のことを考えられるのは幸せだなと思いますし、ここまで応援してくださった方たちに感謝の思いでいっぱいです。■数々の情景を蘇らせる既発表曲、そして未来をも提示する新曲群――思い出深い楽曲ばかりとのことですが、特に印象に残っている曲は?【西尾】私は「寄る辺のSunny, Sunny」です。アニメ「BanG Dream! Morfonication」でのこの曲のライブシーンでは、アトリエでメンバーが輪になって演奏しているところから、夜の野外ステージでの演奏シーンに切り替わるんですね。で、私たちは昨年夏のライブ(『コカ・コーラ SUMMER STATION 音楽LIVE』)でこの曲を初披露したんですけど、MVと同じように輪になって演奏して、そこからお客さんのほうを向いたら、まさにMVと同じ光景が広がっていて…。その景色がすごく印象に残っています。【mika】私は「誓いのWingbeat」。今までのMorfonicaを一歩飛び出して、羽ばたいていく曲だなと思っています。この曲のMVでは、メンバーそれぞれが初めてMVを撮った「Daylight -デイライト- 」を思い起こさせるような動きも採り入れつつ、パフォーマンス面では今できる最大限を出したものになっていて。3年間の成長をギュッと詰め込んだ、“攻めの1曲”になっています。【進藤】やっぱり「Daylight -デイライト- 」です。Morfonicaの最初のオリジナル曲ですし、先輩方と一緒に演奏させていただいたこともありますし、プロジェクト外のイベントに出させていただいたときにも必ずこの曲を連れて行ったので。CD音源を聴くと、「まだ幼い!」ってビックリします(笑)。■随所に進化と成長が光る西尾のベースプレイ――ベースプレイの面では、フィルイン的にスラップ奏法を入れ込んでいる「カラフルリバティー」も必見です。【西尾】ちょうど練習を始めたところなんですが、Morfonicaで初めてしっかりベースソロが登場する曲でもあるので、練習のしがいがあります。――ライブでは、ESP製BOTTOM BUMP PJ NANAMIを使用されていますが、使用感はいかがですか?【西尾】私は黒が好きなので、まず見た目がステキだなと思いました。指板まで黒いベースって見たことがなかったですし、テンションが上がりましたね。PJスタイルのピックアップとアクティブEQのおかげで音の幅も広いですし、エフェクター選びにも参加させていただいて、こだわって音を作っています。あとは弦高をできる限り下げているくらいで、特にカスタマイズした部分はありません。――使用しているピックは、どのように選んだのですか?【西尾】形も厚さもいろいろと試させていただいて、オニギリ型の0.8ミリにしました。滑り止めは大きすぎると弦に当たってノイズが出てしまうので、指先くらいのサイズにしていただいています。――スラップ奏法を用いる際にはどのように対応を?【西尾】ピックを瞬間的に手のひらの中に収めて、スラップパートが終わったら戻す…という感じでやっています。初めてスラップに挑戦したときにいろいろなやり方を試したんですが、このやり方が一番しっくり来ました。――バイオリンの経験があるとのことですが、その経験はベースでも生きていますか?【西尾】私の中では「楽器の構え方が変わった」という感覚なんです。バイオリンをやっていたおかげで運指も回りますし、そこまで違和感はなくて。ただ、私は音で覚えていくタイプだからコードが覚えられなくて、ギターは弾けないなって思っています(笑)。■プロドラマー・mikaすらもうならせるMorfonicaのドラムフレーズ――ドラムも叩きがいのありそうな楽曲ばかりです。【mika】全曲叩きがいのある曲なんですけど、私が演じている二葉つくしちゃんは、どれだけ手数や足数が多くても、それを表情に出さないんです。なので、私も観てくださる方にそういったテクニカルな部分を感じさせないように意識していて。あと、音源の手数通りに叩くとライブではうるさくなりすぎてしまう曲もあるので、ゴーストノートに置き換えたりして工夫しています。――連打系のフレーズをしっかりと聴かせるための工夫ということですね。【mika】Morfonicaの曲には奇数の連打が多いんですね。なので、次のシンバルは右手で行きたいと思っていても、打数の関係上、左手で叩かなければいけない場面もあって。そのまま勢いで行ってしまうと、リズムが突っ込みそうになってしまうんですが、おゆちゃん(西尾)がベースでしっかりと拍の頭に合わせられるように調整してくれていて…本当に支えてもらっています。――例えば「The Circle Of Butterflies」のドラムは、非常にテクニカルなアプローチになっています。【mika】この曲は本当に…(笑)。足は常にサンバキックで、右手は裏アクセントで8分音符と16分音符の混合、スネアも引っかけビートになっていて。これを叩いているつくしちゃんは本当にすごいんですよ(笑)。――mikaさんのライブ用ドラムセットは、CANOPUSの刃II Groove kitです。【mika】木の温もりが感じられるセットだなと感じますし、レスポンスもいいです。すごく素直な音で、つくしちゃんにピッタリな音だなと思っています。――バスドラムの音はしっかりと低めに置きつつ、スネアはミドル~ハイ辺りを狙っているように聴こえますが、どのような意識でチューニングをされていますか?【mika】会場ごとに変えているんですが、基本的にはバンドに埋もれないようにしています。バスドラムは下の帯域がスカスカにならないように下げて、スネアはバイオリンやボーカルとぶつからないように、中高域の間を突けるようにしていますね。――太鼓やシンバルのセッティングにもこだわりが?【mika】もともと私は1タム2フロアのセットを使っていたんですが、つくしちゃんは2タム1フロアなので、最初は試行錯誤の連続でした。ハイタムの位置がなかなか決められなくて、かなり研究した結果、ここ数回のライブでしっくり来る配置が見つけられたんです。今後は、曲によってサブスネアを用意したり、エフェクトシンバル系を追加するのも面白いかなと思っています。■音を重ねる中で生まれる信頼感と一体感、それを裏づける個人の努力――リズム隊だけで練習に入ることもあるのですか?【西尾】最初の頃に1回だけやったことがありました。【mika】おゆちゃんは、ベーシストとしての勘がすごく鋭いんです。バンド練習のときに3回くらい合わせただけでも私にピタッと合わせてくれて、「なんで!?」ってビックリします(笑)。【西尾】個人練習では基本的にクリック重視なんですが、バンド練習ではクリック=4、ドラム=6くらいの割合で聴いて、合わせにいくようにしていますね。【mika】「合わせにいく」というのは、フレーズ自体を完ぺきに弾けていないとできないことなので、すごく練習を重ねているんだろうなと素直に尊敬しています。【西尾】うれしい(笑)。Morfonicaのベースは、コードネームが書いてあれば弾けるようなフレーズではまったくなくて、8~9割くらい身体に染み込ませた状態じゃないと、譜面を見ていても弾けないんです。【進藤】自慢のリズム隊です。歌っていて本当に心地いいんですよ…全ボーカリストのみなさんに体感してほしいくらい(笑)。■さらなる高みを目指すべく、進藤が学ぶ新たなボーカルテクニックと“進化の自覚”――進藤さんは現在、歌唱面でどんなトレーニングを?【進藤】私は最近、ヘッドボイスを練習しています。ボイストレーニングの先生から、「あいあいさん(相羽あいな/Roselia・ボーカル)の高音はヘッドボイスによるものだ」と教えていただいたんですね。もともと私は声が低いということもあるんですが、高音に対して苦手意識があったので、あいあいさんのような、軽く上げつつすごくパワフルに聴こえるという歌声に憧れていて。しっかり勉強して、いつか披露したいとがんばっています。――進藤さんは柔らかくも突き抜けてくるような声質が特徴的だと感じていましたが、パワフルな発声法にもチャレンジされているのですね。【進藤】最初は先生から「副鼻腔を使って歌おう」と言われていたんですが、どうやらそれは自然とできていたみたいなんです。でも、私自身では気づけていなくて。なので、できないことに挑戦する一方で、できることもしっかり把握しなきゃいけないなと感じています。その2つが今の課題ですね。【mika】あまねちゃんは、もともとバンドリーマーだっただけあって、ファンの方が見たいものをよくわかっているボーカリストだなという印象です。そこに歌唱力や表現力がどんどんついてきて…成長の度合いはとにかく「すごい」の一言なんです。――最後に、このアルバムの聴きどころを一言ずつお願いします。【進藤】Morfonicaにはいろいろな曲調がありますが、その幅が感じられるような選曲、曲順になっています。あと、「Daylight -デイライト- 」で始まって、「寄る辺のSunny, Sunny」「誓いのWingbeat」「Ever Sky Blue」で終わるというのが、歌詞に込められた気持ちがどんどん大きくなっていくようで、1人のバンドリーマーとしても演じる側としてもすごく素敵だなと思います。【西尾】ずっと応援してくださっていた方には、キャラクターのストーリーの思い出や、私たちのライブの景色が詰まったアルバムとして受け取っていただけたらうれしいです。初めて聴いてくださる方には、コンテンツと連動したバンドであることや、バイオリンを採り入れたメンバー構成にも注目していただけたらと思います。【mika】Morfonicaの音楽はこんなに幅広いんだと感じていただけるアルバムだと思います。生産限定盤のBlu-rayではライブ映像も観ていただけるので、私たちのいろいろな面が詰め込まれた作品になりました。撮影:江隈麗志https://bushiroad-music.com/artists/morfonica
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