
【ANN55周年連載Vol.8】『山田裕貴ANNX』鼎談後編 “素直で面白い人”山田裕貴がダイレクトに伝わる放送に
1967年10月2日の深夜1時。「君が踊り僕が歌うとき、新しい時代の夜が生まれる。太陽のかわりに音楽を、青空のかわりに夢を。フレッシュな夜をリードするオールナイトニッポン!」という糸居五郎の第一声で、ニッポン放送“深夜ラジオの代名詞”『オールナイトニッポン(ANN)』が幕開けした。現在にいたるまで、才能豊かな数々のパーソナリティーを見出し、リスナーに寄り添い、常に時代の最先端を見つめ、話題や文化を発信してきた『ANN』が、この4月から55周年YEARを迎えた。【集合ショット】仲の良さが伝わる!菊田D、山田裕貴、畠山氏の3ショット ORICON NEWSでは、毎月1組のパーソナリティーにスポットを当てて『ANN』の今を紹介する連載企画をスタート。第8弾の2回目は、4月からスタートした『山田裕貴のオールナイトニッポンX』(毎週月曜 深0:00)の山田、畠山健氏、菊田知史ディレクターによる鼎談の後編を届ける。■畠山氏、クイズ企画の様子で実感「山田さんはすごく素直な人」 山田裕貴「リスナーさんは友だち」 フリートークやコーナー、リスナーから届くメールにもパーソナリティーのカラーや個性が出てくるのがラジオの面白さ。畠山氏と菊田Dは山田のラジオの魅力をどこに感じているのだろうか。菊田 やっぱり役者さんなんで、流れで変なキャラクターになりきるのも必要以上に上手いから、その分さらに面白くなっているのかなとは思いますね。山田さんの体重が乗った日はそれに比例して笑いも増えますし、リスナーの反響もよかったりするので、リスナーに愛されるキャラというのもひとつの面白さなのかなと思います。山田 恥ずかしいですね(笑)。畠山 1月の単発での放送のときに「クイズ!リスナー・オールドマン」という、山田さんの作品を見て人生に影響を受けたエピソードと、ウソのエピソード両方を募集したコーナーがあって、山田さんにはそれを読んでウソかどうかを当ててもらったんです。山田さんはこんなにいいことを書いてきてくれているのにウソだと思いたくない、本当だと信じたいんですけど、それが裏切られていって。山田さんはすごく素直な人なんで、当たったときも外れたときもリアクションが想像の数倍大きくて(笑)、それがやっぱり面白かったんですよね。あのときから聴いているリスナーはこの人はイジったり、翻弄したほうがいいんだなというのが分かったんじゃないですかね。山田 あれは面白かったですね〜。「村上……村上宗隆!? (東京ヤクルトスワローズ所属のプロ野球選手)」って、マジで騙されましたもんね。畠山 「こんなことするのか!オールナイトニッポンは!」って言ってました(笑)。山田 騙し続けられていたんで、だんだん怒りすらも覚えてきて。菊田 「(村上さんがメールを)送ってくるわけないじゃないですか」と言ったら、「送ってくるわけないってなんすか?」って本当に怒っていましたもんね(笑)。山田 だってありえるかもしれないじゃないですか。かと思ったら小栗(旬)さんのメールは本当だったし、揺さぶる幅がすごすぎて、その放送内だけでそこから先の人生、何を信じたらいいか分かんない状態になりましたよ(笑)。でもいい経験でしたね。畠山 そういう素直さが伝わって、今のリスナーとの距離感、関係値もいい感じなんじゃないですかね。 俳優の仕事では監督や脚本家、そして見てくれる人がいて作品ができあがっていくものだが、この番組においての畠山氏と菊田D、そしてリスナーの存在を山田はどう捉えているのだろうか。山田 いや、めちゃくちゃでかいですよ、もう本当に。最初の放送からすごく助けてもらっていて、いつも僕は「大丈夫かな、この喋りで」ってチラチラと菊田さんと畠山さんの顔を見ているので、放送中はそれが僕のすべてというか。テンションが上がりすぎて笑ったまま喋れなくなったときに菊田さんが「はよ喋れ!」みたいなことを言っていたりとか(笑)、畠山さんからの秀逸なパスをもらって何か思いつくことがあったりするときは、いい連携がとれたなと思いますね。2人がブレーンだと思っているので頼り切っていますし、本当に助かっています。そして、リスナーさんがいなかったらこの番組は成り立たないですよ。だからどれくらい聞いてもらっているのか、僕のことを知らなくも聞いてくれている人がいるのか、どんな人が聞いてくれているのかとかはすごく気になりますよね。ラジオだと僕はいつもより気をつけずに、普通に喋っているんですよ。それはリスナーさんを友だちだと思っているからだと思います(笑)。あんまり深いことは知らないけど、ふざけ合える友だちみたいな。……すごくいいこと言っちゃった感じになっていますけど、大丈夫ですかね?(笑)■ラジオだからこそ「本当はもっと喋りたい」 “ミミップくん”の舞台裏が発覚? ANNでは、現在もこれまでも芸人やミュージシャンがパーソナリティーを務めることが多い。その中で俳優である山田がラジオをやるからこその持ち味、醍醐味はまだ模索中だという。山田 芸人さんは話芸があるというか、聞いていて面白いであろうラジオを作っていると思うし、アーティストさんは普段歌って伝えていて逆に喋る場がなかなかないから、そういう方たちの話を聞けること自体が面白いじゃないですか。だから俳優がラジオをやっている面白さってなんなんだろうというのは悩みどころというか、自分でも探しているところではあるかもしれないですね。そこがすごく難しいところなのかもです。菊田 やっぱりドラマや映画に出ているんで、役者さんの名前やお話を聞けるのは他の方のラジオではあんまりないのかなと思います。畠山 僕は俳優だからっていうのはあんまり考えたことないですね。山田さんは面白い人なんで。山田 許されることなのであれば、本当はもっと喋りたいんですよ。ものすごくプライベートなことだったり、僕は全部喋っていいと思っているし、「こういうときはどうしてる?」みたいなイチ人間として思っていることを普通に話したいんですけど、一応職業的な部分で考えないといけないことや守らなきゃいけないものはあると思うし、本当のことを全部喋っているから面白くなるものでもないから、今は毎週どうしたら楽しくなるかをシンプルに考えているところですかね。 最後に、先日最終回を迎えた山田扮するミニストップの公式キャラクター・ミミップくんがリスナーの苦労を労わるコーナー『Xフライドポテトを食べてひと休ミミ〜』について、俳優としてミミップくんというキャラクターへどう向き合ったのかを教えてもらった。畠山 どういう気持ちで、30オーバーの俳優がミミップくんをやっているのかって聞かれていますよ(笑)。山田 そこっすか?恥ずかしくないのかってことですかね?菊田 どういう向き合い方をしているのかっていうことですよね(笑)。畠山 どうやってミミップくんを生きているのかってことです(笑)。山田 あー、なるほど。やっぱり一番お芝居で大事なことは共感性だと思うんですよ。その人の思いが分かって共感できたから泣けるし、楽しくなったり、イヤだなと思ったりするわけじゃないですか。だから多分ミミップくんの声は「この声だろう」という一番共感度の高い声だと思ってやっている感じです(笑)。畠山 そんな高度な考えで(笑)。山田 ドラえもんっぽくはないだろうし、スネ夫っぽくもないだろうし……。畠山 もういいわ(笑)。山田 かといって(笑)、子ども番組のキラキラ系のかわいい声でもないだろうから、ちょっとウザいかもなっていうくらいの声で。畠山 そうね、ちょっとウザいかもしれない。山田 ちょっと高めで、大人のゆるキャラっぽい感じっていうか……そんなような感じです(笑)。◆山田裕貴(やまだ・ゆうき)1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年、テレビ朝日系『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイブルー役で俳優デビューを果たして以降、『ここは今から倫理です。』『東京リベンジャーズ』など、ドラマ・映画問わず数々の注目作に出演してきた。来年放送の大河ドラマ『どうする家康』、フジテレビ系『女神の教室~リーガル青春白書~』への出演も控えているほか、アニメ映画「BLUE GIANT」では主人公・宮本大の声優を務める。
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