
ムーンライダーズ・鈴木慶一、“盟友“PANTAさんに捧げる「さようなら『ロック屋』」
今年7月7日に73歳で亡くなったロックバンド・頭脳警察のボーカル&ギター、PANTAさんのお別れ会が1日、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われた。ユニット「P.K.O(Panta Keiichi Organization)」として活動をともにしたムーンライダーズの鈴木慶一は、“盟友”としてPANTAさんを偲んだ。【写真】数々の写真・楽器が飾られた献花台 亡くなる約1ヶ月前の6月14日にも同所でライブを行い、生涯「ROCK屋」であり続けたPANTAさん。その意思に寄り添うように、この日のお別れ会は「献花式・ライブ葬」という形式で実施された。会場入り口の芳名板には、仲井戸麗市やミッキー吉野、クレイジーケンバンドの横山剣らアーティストのほか、俳優の竹中直人や映画監督の岩井俊二氏らの名前も並んだ。 ライブ葬には、TOSHI(石塚俊明)、澤竜次、宮田岳、樋口素之助、おおくぼけい、竹内理恵と、同バンドの50周年も飾ったメンバーが参加。PANTAさんの生前の歌唱映像とともに渾身の演奏を披露した。 鈴木は「友人としてこの場でお話ができるのは光栄。PANTAは友人が多かったし、話したい人はもっといるだろう」と言いながら、「未だに悲しみは癒えません」と胸中を明かした。「僕が作曲を始めたキッカケは、頭脳警察とエンケン(遠藤賢司)でした」と明かしながら、「当時は“敵”でした」と出会った当時を回顧。そしてさまざまな縁によって、「何年も敵だったのが、5分で“兄弟”になったんです」と笑顔で語った。 PANTA&HAL名義の作品『マラッカ』をプロデュースしたことなどにも触れ、「数々の思い出話がありますが、本当にきりがない。ここではやめておきます」と苦笑い。「年老いたミュージシャンは、カジキ漁の漁師と同じように夢を持たないものです」と続け、「だからこそ、果敢に新しい海へ船を出せる」とし、「PANTAはそれを実践し続けたと思います。夢はあっただろうけど、実現可能なものだったはず。それは夢と呼ばない。『イマジン』も歌わなかったし」と思いを馳せた。 そして「今頃どこの海にいるのだろうか。とっても会いたいです。P.K.Oの残りの5曲、まだ歌を録音していないよ。どうしたらいいのか、いつものように教えてください」と語りかけ、最後に「さようなら、世界『ロック屋』、さようなら」と、PANTAさんが手がけた「さようなら世界夫人よ」の一節を歌い、別れを告げた。 PANTAさんは1950年に埼玉県所沢市で生まれ、70年に頭脳警察としてデビューし、75年に解散。その後も1990年に1年だけの活動再開などをはさみながら、同バンドとしての活動も行ってきた。
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