
第167回「芥川賞・直木賞」決定 芥川賞は高瀬隼子氏『おいしいごはんが食べられますように』、直木賞は窪美澄氏『夜に星を放つ』
日本文学振興会は20日、『第167回芥川龍之介賞・直木三十五賞』の選考会を都内で開催し、直木賞は窪美澄氏(56)『夜に星を放つ』、芥川賞は高瀬隼子氏(34)『おいしいごはんが食べられますように』に決定した。【写真】受賞者はどんな人?黒髪ロングの芥川賞作家・高瀬隼子&直木賞作家・窪美澄 『夜に星を放つ』は、かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編となる。 窪氏は、1965年東京都生まれ。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR‐18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞を受賞している。 『おいしいごはんが食べられますように』は、仕事+食べもの+恋愛を組み合わせた小説で、職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾の、ままならない人間関係を、食べものを通して描いている。 高瀬氏は、1988年愛媛県生まれ。立命館大学文学部卒業。2019年『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞し、デビューした。 両賞は1935(昭和10)年に制定。芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られる。前者は主に無名・新進作家、後者は無名・新進・中堅作家が対象となる。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が与えられる。■第167回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)※作者五十音順・敬称略小砂川チト『家庭用安心坑夫』(『群像』六月号)鈴木涼美『ギフテッド』(『文學界』六月号)高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』(『群像』一月号)年森瑛『N/A』(『文學界』五月号)山下紘加『あくてえ』(『文藝』夏季号)■第167回直木三十五賞 候補作(出版社)河崎秋子(※崎はたつざき)『絞め殺しの樹』(小学館)窪美澄『夜に星を放つ』(文藝春秋)呉勝浩『爆弾』(講談社)永井紗耶子『女人入眼』(中央公論新社)深緑野分『スタッフロール』(文藝春秋)■選考委員【芥川賞】小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、山田詠美、吉田修一【直木賞】浅田次郎、伊集院静、角田光代、北方謙三、桐野夏生、高村薫、林真理子、三浦しをん、宮部みゆき※五十音順・敬称略
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