
浜辺美波“嫌だった”鏡に映る自分の姿 サボらない努力で少しずつ自信へ
大人気漫画を実写化した映画『約束のネバーランド』が18日に公開を迎える。主人公・エマを演じたのは、めざましい活躍を見せる女優・浜辺美波(20)。人気原作の実写版を演じる上で、どのような心持ちで挑んだのか、また、デビューのきっかけとなった第7回「東宝シンデレラ」オーディションから来年で10年を迎えるにあたり、これまでの女優人生を振り返ってもらった。【動画】浜辺美波にインタビュー!北川景子との撮影裏エピソードを語る 原作は、2016年8月から20年6月まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた同名漫画。孤児院で平穏に暮らす少年少女たちが、自分たちのことを「『鬼』の食用として育てられている」という秘密を知り、脱獄を計画するファンタジー。誰よりもまっすぐな性格の主人公・エマを浜辺、クールな少年・レイを城桧吏、理性的でリーダー格のノーマンを板垣李光人が演じる。そして、孤児院「グレイス=フィールド」で理想的なママを務めながら、裏で鬼の手下として暗躍するイザベラを北川景子、イザベラの手下で、シスターながらに下克上を狙うクローネを渡辺直美が担当する。■エマ役オファーに驚き「自分が演じるのは難しいと思いました」 もともと原作が好きだった浜辺。オファーの話が届いたときは驚きを隠せなかったという。「実写化しないジャンルの漫画だと思っていました。設定もそうですし、子どもたちがメインの話で、役者さんを集めるのも大変だと感じました。それを撮影するとなると難しいものが多いと思っていて、どう描くのか疑問はありました」と振り返る。 「リハーサルが1ヶ月くらいあり『ここはどの様にして描きますか?』と(平川雄一朗)監督やプロデューサーさんにお聞きして。わからないことも多かったので、みんなで作り上げられたらと思い、撮影に臨みました」と疑問を感じたことは、都度確認して解消していった。 浜辺が演じたエマは、天真爛漫で運動神経が高く、心の芯の強さも持ち合わせる主人公だ。「グレイス=フィールド」の最年長で、ノーマン、レイと並んでテストではフルスコアをとる頭の良さもある。 「自分が演じるのは難しいと思いました」と話す浜辺。「元気いっぱいですし、実年齢も自分より若い。みんなとのバランスをどうとるのか、みなさんにどう見えるのか不安もありました」と正直な気持ちを明かすが、撮影後にはジムで走り込み、食事も多くとるなどエマになるための体作りをしていった。 そのエマについては「『言葉に説得力があるところ』が好きなんです。不可能なことでもエマが『できるよ!』と言ったら、なんだかできるような気がする。エマにはそういうもともと持って生まれた言葉のパワーがあって、人としてすてきだと思います」と浜辺自身も愛着を抱くキャラクターだ。■実写化反対意見は“当然のこと” 演じる立場として「ショックは受けない」 撮影地は標高が高く天気の移り変わりが激しいに加えて、空気も薄く、真夏の撮影でも寒さを感じるなど、体力面でのつらさも多かった現場だったという。さらに、子どもたちの中には一番若い子で4歳の子もいたので、年下の子どもたちとの撮影は「最初は心配でした(笑)」と振り返る。 それでも「子どもたちが成長していくので『自分もやらないと』と思えましたし、毎日いろんなことが起こるのでいつも新鮮でした。そのときは大変でしたが、思い返すと癒やされましたし、元気をたくさんもらえました」と充実した時間を過ごした。 大変な撮影時間の中で、浜辺が「すてきでした」と話すのがママ(=イザベラ)役の北川の存在だ。「北川さんは『大丈夫?』と私の体調を心配してくださって、ありがたかったです。テンションが上がってしまっている子どもたちを引っ張ってくださり、圧倒的なお母さん感がありました。私には“お姉ちゃん”という感じで接する子どもたちも、北川さんには従順でしたね(笑)」とたたずまいや北川が持っているオーラにすごみを感じた。 スタッフ、キャストたちが準備を重ね、厳しい環境の中での撮影を乗り越えながら作り上げていった本作。ただ、実写映画化が発表されたときには、疑問や不安の声があがったのも事実だ。これまでも、多くの実写作品に出演している浜辺はそのような声をどう捉えているのか。 「私自身漫画が好きで『これを実写化するの?』と思うこともあります。なので『実写化するべきじゃない』という声が上がることは当たり前だと思っています」と批判的な声は受け止める。その上で「そう思われてしまう事は仕方ないですし、そう言われたからといってショックは受けないです。もちろん怒りもしないです。むしろ『そうだよね』と思っています。それでも私たちは実写化をする意味を見つけて、作品を一生懸命に作りあげています。なのでひとりでも多くの方に見ていただいて、実写なりの良さを楽しんでいただければうれしいです」と力説する。 『約ネバ』の実写化については「キュートさもライトさも残酷さも描かれているし『自分たちだったらどうするだろう』と共感してもらえるようになっていると思います。子どもたちも一人ひとりが、しっかりと生きている。どのキャラクターを見ても“人生”を感じられると思いますし、劇中には原作にはない新しく追加されたシーンもありますので原作が好きな人にも新しい発見をしていただけるとうれしいです」と原作も大事にし、大役を担ったからこそ出てきた思いを語ってくれた。■忙しさも“嫌じゃない”仕事に対する貪欲さ 2011年、第7回『東宝「シンデレラ」オーディション』でニュージェネレーション賞を受賞して芸能界入りした浜辺。来年でデビューから10年を迎えるが、いまを“充実した日々”と満足げだ。 仕事を楽しめるように感じられるようになったのは、上京して自分の生活が送れるようになってからだという。「(故郷の石川県と)行き来する移動時間があまり得意ではなくて(笑)。お風呂のタイミングとかも『ここまで台本読んでから入りたい!』とかがあるので、自分が好きなものを作って食べて、お仕事に集中しやすい環境をつくれるようになってからが楽しいです」と自分のペースをつかんでから、よりおもしろさを感じている。 思い入れのある作品として「もちろんどれも楽しさがあるのですが、中でも特に思い入れがあるのは『賭ケグルイ』です。みんな自由なので、お仕事の範囲を超えた楽しさがあります」と同世代のキャストも多く出演し、続編も決定している人気シリーズをあげる。 一方で、仕事が軌道に乗る前は、つらかった時期もあったと振り返る。「お仕事をたくさんいただけるようになる前、同期のみんなとやっていたワークショップの期間が今振り返るとつらかったように思えます。『シンデレラ』の同期の中でも最年少で、上の子は7歳くらい年の差がありました。ひとつのことをやるとなっても、みんなのようになかなか上手くできませんでした。ワークショップの服を選んで着ていくにしても、身長もなくスタイルも良くない体型なので、鏡でみんなと並んだ自分の姿を見るのが嫌でした」と周囲と比較して、コンプレックスを気にしていたこともあった。 それでも「家で練習して、ほめられるとうれしかったです。サボらずに続けたことで、最初よりはできるようになっていきました」と、つらい時間もくじけずに真面目に一生懸命取り組んでいった結果として、ほめられて自分の自信につなげていった。 少しずつ積み重ねた努力によって、2020年だけでも『アリバイ崩し承ります』『私たちはどうかしている』『タリオ 復讐代行の2人』と3本のドラマに出演。映画も『思い、思われ、ふり、ふられ』『映像研には手を出すな!』、そして『約束のネバーランド』と3本に出演している。 引っ張りだことなっている現在に忙しさを感じながらも「ありがたいことです」と喜ぶ。「自粛期間もあり、もともとより(撮影スケジュールが)詰まったので、今年は元気に乗り切ることが目標でした。お仕事をいただき“詰まっている”と感じられるのは本当にうれしいです。嫌というのはなく、充実した1年でした」と今年を振り返る。 それでも「まだまだ勉強中というか。体調の変動もありますし、常に100点を出せるかと言われるとそうではないです。いろんな方の話を聞いて、どうやったら体調良く頑張れるのか聞いていきたいです」と仕事に対してひたすら貪欲さを見せる。まさに“シンデレラ”のように駆け上がっていった10年間。これからどのような活躍を見せてくれるのか、今後も楽しみにしたい。◆浜辺美波(はまべ・みなみ):2000年8月29日生まれ 石川県出身『君の膵臓をたべたい』(17年)で日本アカデミー賞新人俳優賞ほかを受賞し、19年は『映画 賭ケグルイ』『アルキメデスの大戦』などヒット作に出演。21年1月からは日本テレビ系連続ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』に出演。公開待機作に『映画 賭ケグルイPart2』がある。
ORICON NEWS