ウサビッチ は閉ざされた空間で繰り広げるショートアニメ
ウサビッチ は一話あたり1分半のショートコントアニメで、それぞれの登場人物にはとくに台詞は無いので各々の仕草や状況から物語を楽しむ仕立てになっている。コミカルな表現方法と「セリフが無い」という個性的な特徴で、ブラックでシュールなコメディが繰り広げられる。Contents1 閉じられた舞台で2 プーチンとキレネンコ3 そして、 ウサビッチ は開かれた世界へ■閉じられた舞台で舞台はロシアの刑務所らしき二人部屋で、プーチンとキレネンコの監獄生活を描いている。プーチンは真面目に看守のカンシュコフの指示に従って食事を受け取り、刑務などをこなしているが、キレネンコは寝転んでは新聞や靴の雑誌を読んでばかりで指示を聞かず、毎回カンシュコフの懲罰や嫌がらせにキレて、カンシュコフを怪力で痛めつけて脅えさせ、贅沢な食事や快適な房生活を享受しているのだった。■プーチンとキレネンコプーチンは真面目で気が優しく、ノリの良い陽気な部分もある。機械いじりが得意でおよそ囚人らしくない愛嬌がある。キレネンコは普段はマイペースで物静かだが、わがままで、気に入らないことがあると相手をやっつけてまで自分の我を押し通すという凶暴さがある。スニーカーを集めるのが趣味で欲しいシューズを手に入れるために脱獄するという展開を見せる。この二人の囚人が監獄を飛び出て、いく先々を待ち受ける、ならず者たちを蹴散らして、冒険に出るさまは、まさにデコボココンビと呼ぶにふさわしい。■そして、 ウサビッチ は開かれた世界へ物語はシーズン1~シーズン5と、前日譚のシーズンZEROによる構成になっているが、シーズン5とシーズンZEROが繋がって物語がループすれば面白いのに、と思うのは単純な一個人の願望だろうか。監獄という閉じられた環境で、全体の物語も閉じられてしまうが、それらを次々とキャラクター達が打ち破っていくような企画を開発して物語の独特の世界観が現実の中へ食い込んで行けば製作者冥利に尽きるかもしれないし、実際にウサビッチのテーマでゲームやキャラクターグッズが市場に出回っているので、そのアイデアはすでに実現していると言える。ウサビッチという世界観がキャラクターを通してアニメ産業の一部から世界の消費社会へニッチにじわじわ浸透していくことが、このアニメのファンにとって楽しみ方の一つになるのではないかと思う。あまたの考えはいかがだろうか。文章:kyouei-drachan『よんでますよ、アザゼルさん。』ゲスが極まったダークコメディ(あにぶ編集部/あにぶ編集部)
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