絵本やおとぎ話のような、子どもに見せたい柔らかな世界。「 魔法陣グルグル 」感想総括コラム
半年に渡る「 魔法陣グルグル 」の物語が、駆け足ではありますが終わりを迎えました。ほわっと胸の中に残っているモノがある感じがありますね……。児童文学を読み終わったあとの、なんとも言えない心地よさに似ています。あ、ここで「ダレン・シャン」とか「デモナータ」とか思いついた人はそれじゃないから!!そっちじゃないからね!!今回は半年間楽しんだ「 魔法陣グルグル 」の総括コラムをお届けします!Contents1 「 魔法陣グルグル 」は、是非とも子どもに見せてあげてほしい!2 かつて「 魔法陣グルグル 」を見ていた大人にだって見てほしい!3 今回3度目のアニメ化をしたことで感じたことも色々。■「 魔法陣グルグル 」は、是非とも子どもに見せてあげてほしい!週刊感想コラム時点からずっと言い続けていますが、本当に本当に、子どもにこそ見てほしい作品として一貫して推せる作品でした!自分の子どもにはまだ見せていない人だったり、いつか子どもを持つ人だったり、もしくは甥っ子姪っ子だったりにでもいいと思います。下品さが少なく、なのにユーモラスで、絵本のようなかわいらしさと優しい世界。それだけではなく、さりげなく「子どもの頃だけ持っている、迷うことが許されている特権」が盛り込まれているように思いました。話数が少ないため、原作のすべては盛り込めず非常に駆け足です。ですがそれだけに、大事な部分は非常にコンパクトに纏められ、伝えたい言葉を凝縮してある印象がありました。男の子は男の子なりの冒険や、他人の気持ちに気付くことがどれほど大事かのきっかけ。女の子は女の子なりの冒険と、淡い恋に対する心構えとちょっとした覚悟の疑似体験。そして性別を問わず、他人との関わりがどれほど人生に影響を与えるか、それをいかに大切にして育むべきかなどを笑いながら知っていけるのではないでしょうか。可愛い世界であるにもかかわらず、決して優しいだけではない世界なので、ほんの少し子どもたちの成長を後押しできる作品だと思います。■かつて「 魔法陣グルグル 」を見ていた大人にだって見てほしい!画像引用元:© 衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会今回を含めて3度のアニメ化を経験した作品なので、かなり幅広い年齢層の人が見ることになった作品だと思います。もちろん、上述したように子どもに是非見てほしい作品!ですが、特に一番最初にアニメ化されたときの「 魔法陣グルグル 」を見ていた人にも見てほしい作品でもありました!ラスト2話、まさかあんなに泣かされるとは思わなかったです……!!最初のアニメを見ていたからこそガンガン涙腺押されるの本当すごかったです!はっ……ガンガンだけに……!!??すみません今のは忘れてください。でも全体的に、初代アニメリスペクトを感じる作りだったと思います。レイドのこともそうですが、「MagicOfLove」や「晴れてハレルヤ」をモチーフにしたであろうカットも散見されたことで、当時「 魔法陣グルグル 」に夢中だったアラサーたちの気持ちを引き込んでくれました。■今回3度目のアニメ化をしたことで感じたことも色々。画像引用元:© 衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会個人的に今回のアニメOPで好きだったのは、「流星ダンスフロア」のサビ部分の動画でした!サビに入るとニケとククリちゃんが右側に向かって走り出し、味方陣営のキャラクターが背景を流れるんですよね。でもOPとかで右に走っていくのって、なんとなく後退や停滞をイメージさせてしまう。そしたら、同じメロディーで今度は左側に慌てて走り出し、背後は敵陣営のキャラクターが押し寄せてくる。ここで、味方や気の置ける相手に囲まれた状態ではついついその場で留まってしまいがちだけど、自分と反対の立場の相手がいることで半ば否応なく前に進むことができるんだと、筆者は読み取りました。また、原作が158話あるにもかかわらずアニメは全24話ということで当然はしょられた部分も多かったんですが、流れがスムーズに、また違和感のないようにと改変されたところもちゃんと「 魔法陣グルグル 」感溢れる面白さだったのがとても好きでした!ゆっくり見せてほしいとことはちゃんと時間をかけて見せてくれましたし、このキャラいなくても話が成り立つな!と断じられたキャラは存在から抹消という潔さで小気味よかったです。なくても話は成り立つけどここは見たいな!と思う部分は予告のドット絵でやってくれたりと、作品愛を感じる作りだったのも嬉しかった!特にゲソックの森は、作中で搭乗したのは予告のドット絵だったにもかかわらずEDでがっつりヒロインズが出たりと、スタッフもやりたかったんだろうなというのが感じられたのも良かったのかもしれません。あとは週刊コラムでも書いていましたが、キャラクターの感情をより深く描写してくれたのがとても嬉しかったです。原作では肝心なときにクールな表情が多かったニケも、ククリちゃん関連のことで表情にかなり出て内面の起伏が分かりやすかったと思います。しかしジュジュちゃんとレイドがね!!大事に大事に描写されてる感があってですね!!原作は大好きだけどこの二人に関してはちょっと残念だったな、消化不良だったかもな、という人の凹みみたいなモノをガッツリ埋めてくれました。23話は本当に神回だった。画像引用元:© 衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会初代アニメが放送されて23年、それだけの月日を経てようやくニケとククリちゃんの旅が一段落したんだなとじんわりと胸が熱くなりました。正直今回のアニメ化の話を聞いたとき、「今流行のリバイバルブームかぁ」と思ったんです。でもこの作品の場合、これまで2度も二人が投げ出した旅を、三度目の正直で終わらせてあげることが必要だったんだなと思います。魔王ギリを倒すための長い長い旅、終わって本当に良かった。半年、本当に短い期間でした。贅沢を言うならやっぱり一年かけて冒険を見たかったです。だけどこの短い期間だからこそ、勢いを失わず、可愛くてふわふわとして、優しくもちょっとシビアな世界を楽しめたんだとも思えます。半年間、この感想コラムに付き合っていただいた方がどれほどいらっしゃるのか分かりませんが、もしずっと読んでくださっていた方がいらっしゃいましたら、一緒に楽しんでくださってありがとうございました。完全に童心で楽しむことができた、久し振りのアニメ作品でした。いつかまた、こんな作品に出会えたらと思います。魔法陣グルグル 感想コラムのまとめ2017.08.16(あにぶ編集部/井之上)
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