熱血アニメ列伝その24 フィールド全開!!『 新世紀エヴァンゲリオン 』
熱血アニメファンの皆様、ごきげんよう。先月は一月お休みしてしまいましたが、今月はこの5月なのに妙に暑い日々を吹き飛ばすような、熱いアニメを紹介しますよ!今月は前回の『熱血アニメ列伝』で扱った作品『トップをねらえ!』と同じ庵野監督が手がける、『 新世紀エヴァンゲリオン 』をお送りします。もしかしたら、この作品の最新シリーズ『新劇場版』シリーズしか知らない方には「え?熱血?」と戸惑う方もいるかもしれませんが、今回は最初に1995年に放送が開始されたテレビシリーズを中心にしてコラムを進めていきます。このテレビ版は、十分に熱血と言える要素を持っていると思いますので、まずはいつもの通り、あらすじから紹介!■時に、西暦2015年 『 新世紀エヴァンゲリオン 』のあらすじ数々のアニメの紹介番組や、一時期「社会現象」とまで言われたアニメなので、この作品の大筋はほとんどの方がご存知かと思います。しかし、冒頭にも書いた通り、近年の最新シリーズ『新劇場版』でしかエヴァを知らない方も最近は結構増えてきていると思うので、そもそものテレビシリーズのあらすじは書く必要があると思いますので、少しお付き合いを。時に西暦2015年。15年前に南極で発生した大規模災害「セカンドインパクト」による影響で、我々が知っている地球とは大きく様相を変えている、そんな状況の中。実際の神奈川県箱根付近に遷都されている「第3新東京市」に、主人公「碇(いかり)シンジ」が到着するところから、物語は始まります。彼が待ち合わせの相手、特務機関「NERV(ネルフ)」の作戦指揮官「葛城(かつらぎ)ミサト」と合流する前に、「使徒」と呼ばれる謎の怪生物が、この「第3新東京市」に襲来してきます。何とかミサトとも合流し、NERVの本部へと到着するシンジ。そこで彼を待っていたのは、NERVの総司令でもある、3年ぶりに再会するシンジの父「碇ゲンドウ」。そして、使徒に唯一対抗出来るとされる「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 初号機」でした。使徒の攻撃がNERV本部近くまで来ている状況で、シンジは父ゲンドウからエヴァに乗って戦うことを、命令されます。突然の事態に、シンジは最初抵抗を示しますが、自分以外の人間がこのエヴァンゲリオンを動かせない事を認識し、「逃げちゃダメだ」と何回もつぶやき自分を叱咤。使徒との戦いを決意、エヴァに乗り込むことに。謎の使徒と、シンジやエヴァの他のパイロット、綾波レイや、惣流・アスカ・ラングレーらの壮絶な戦いが始まります。シンジは使徒を撃破し、人類を守る事が出来るのか?と、言うのがこの『新世紀エヴァンゲリオン』のあらすじです。■冴える庵野節!熱血ロボット物としてのエヴァンゲリオンの魅力とは?画像引用元:(c)カラー/Project Eva. (c)カラー/EVA製作委員会 (c)カラー予備知識が無い人が、あらすじだけを読んだ場合、あるいはこのアニメを「物凄く王道のロボットSFアニメかな?」と思う人も多いかもしれません。しかし、ほとんどのエヴァンゲリオンを知っている方々が認識している通り、このアニメを一時的な社会現象とまでの人気作にしたのは、やはりなんと言っても全編にちりばめられた「謎」の多さによるところが大きいでしょう。現在、最終作『シン・エヴァンゲリオン』の公開が待たれている『新劇場版シリーズ』でも、その傾向は顕著で、上映が開始されるや否や、様々なSNS、ブログ、紙媒体で数多くの謎の検証がされます。当然、今回扱っているテレビ版シリーズにおいても(当時は今ほどのネット環境がなかったにも関わらず)、謎の多くが検証され、その物語の意味を推測する人達がたくさんいました。そういうところも、十分(個人的には)燃える要素でもあるのですが……(謎解きに燃える人も多いですよね?)、特にテレビシリーズにおける「ロボットアニメ的な熱血度」は無視出来ないと思っています。これは、前回扱った庵野監督作品である『トップをねらえ!』でも顕著だったことでもあるのですが。監督の庵野さんは『ゲッターロボ』等の熱いロボットアニメに対する思いをかなり作品に反映しているところがあるのです。内向的で大人しい容貌の、エヴァの主人公碇シンジ君ですが、その彼が使徒との戦いでは、叫び声をあげ、がむしゃらに敵へと向かっていく様は、十分な熱血要素と言って良いのではないかと、個人的には思います。それが特に顕著に出ているのが、テレビアニメ版の「第拾九話『男の戰い』」における、シンジ君の戦い方です。26話あるテレビシリーズにおいて、熱血的観点において、見逃せない1話だと思いますので、もしこのコラムを読んで興味を持った方は、この話を見る時は、少しその辺を意識して見てみてください。その他にも、熱血的観点としては「第拾弐話『奇跡の価値は』」も、押さえておきたいエピソードでしょう。成層圏から飛来する最大規模の大きさの使徒。その巨大さと重力落下による加速が加わり、実際に使徒が地表に落ちたら、大被害になってしまう事は間違いありません。それを受け止める為にエヴァの持つ防御壁「ATフィールド」によって3体のエヴァでこれを受け止めるというかなり無謀な作戦を実際にやり遂げるシンジ達の姿に、胸が熱くなる人も多い筈です。設定によって胸を熱くするタイプのアニメ好きな方にも、このエヴァは十分に「熱い」作品である点を多く持っています。先ほども書いたエヴァの防御能力「ATフィールド」は、実は使徒も持っています。そしてこの防御フィールドは、ほぼ全ての通常攻撃を無効に出来るほどの絶対的防御能力を有します。この使徒のATフィールドを突破するには、ATフィールドを突破できるほどの強力な火力を用いる以外では、エヴァの持つATフィールドで使徒のそれを中和するという方法しかありません。その為、エヴァンゲリオンは「使徒に唯一対抗出来る兵器」として、劇中で位置づけられています。この「限定的な状況下において特殊装備で敵に唯一対抗出来る味方の兵器」というのも、設定マニアを唸らせる熱い要素と言えるでしょう。これら、「庵野節」とも呼べる庵野監督の熱血ロボットアニメ的嗜好が垣間見れる、最初のテレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』、是非熱血観点からも見て欲しい作品の一つです。■うつ展開が苦手なあなたに……はっきり完結!な「貞本エヴァ」の魅力とは?さて、ここまで最初のテレビシリーズの「熱血的」魅力を語ってきましたが、実際にそんな風にこの作品を見ようと思った時にどうしても避けては通れない部分の注意点を話しておかなければならないでしょう。それは、テレビシリーズの終盤の展開がかなり「うつ展開」である点です。色々なキャラクターがかなり(14歳とまだ子供であるにも関わらず)ひどい目に遭います。何より最終の25話、26話は放送当時かなりの物議をかもし出した「難解な描写表現」が数多く存在し、今見てもこの2話はかなり異色の最終エピソードである事を認識出来ます。その25話、26話を完全な形で作品として仕上げたのが、「旧劇場版」と称される『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』です。一応、この劇場版までを全て見ないと、特に旧テレビシリーズは物語として完結をしていませんので、その点もご注意を。しかし、この「旧劇場版」もあまり明るい、楽しい作風とは言えない作品であるのもまた事実です。それでも、アニメ史に残る傑作の一つである事は間違いないので、是非一度は見て欲しいところですが。エヴァンゲリオンの様々な作品の中で「ちゃんと完結していて、それなりに落としどころがはっきりとしている」ものが、一つだけあります。それが、角川書店から発行されている、エヴァンゲリオンシリーズのキャラクターデザインも担当されている「貞本義行」さんによるコミカライズ(漫画化)作品です。テレビ版と、各キャラクターの性格が一部違ったり、その為に展開が少し違ったり、そして何より先ほども書きましたが、現在発表されているエヴァ作品において、最も「ちゃんと完結している」作品と言っても良いでしょう。うつ展開も(ゼロではありませんが)、そこまでありませんし、何より主人公のシンジ君がちゃんと一定の方向性を持って成長していく様が描かれているので、テレビシリーズとは違ったカタルシスを感じる方も多い筈です。この作品の良いところは、ちゃんとテレビ版でも感じた「熱血ロボットアニメ」的な要素もきちんと描写している点です。エヴァの魅力でもある「謎要素」や「うつ展開」に少し食傷気味になった方には、是非お勧めしたい「エヴァ」の一つです。■新劇場版の完成はいつか……?真のハッピーエンドを期待したい!さて、エヴァンゲリオンの魅力を熱血的なところから、色々と語ってきましたが、いかがだったでしょうか?今回のコラムの中心的な話題のテレビ版シリーズは、バンダイチャンネルなどの配信サイトでも視聴が可能ですし、大手ビデオレンタル店では、DVDレンタルもされています。比較的見るのに難しくない作品だと思いますので、今まで名前だけ何となく知っていて、今回のコラムで改めて興味を持った方には是非見て欲しいところです。最後に、やっぱりエヴァファンの一つとしては、「新劇場版」の最終作『シン・エヴァンゲリオン』の早い完成を望みたいところですね。先に公開された(と、言っても2017年の現時点で5年も前のことですが)『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』では、その「うつ展開」的なところに、やはりかなりの賛否両論が起こりました。ですが、最終作の『シン・エヴァンゲリオン』では、是非今までのそう言った「うつ展開」を吹き飛ばすような、ハッピーエンドを期待したいところです。色々な作品で色々とひどい目に遭っている主人公碇シンジ君に真の幸せが訪れる事を、エヴァファンの一人として願いつつ、今回のコラムはここまでとさせていただきます。エヴァンゲリオン という作品の真実2017.03.06(あにぶ編集部/あすかつぐよし)
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