
役所広司、カンヌで10分のスタンディングオベーション「皆さんほめるの上手」と照れ
フランス現地時間25日、「第76回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門に出品された日本の公共トイレを題材にした映画『PERFECT DAYS』(日本公開未定)の公式上映が行われ、ヴィム・ヴェンダース監督とともに主演を務めた役所広司、共演の中野有紗、アオイヤマダ、田中泯がレッドカーペットに登場した。【動画】『PERFECT DAYS』カンヌ国際映画祭用特報 『パリ、テキサス』(1984年)、『ベルリン・天使の詩』(87年)、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99年)、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(2011年)等、数々の傑作を世に送り出し続けたヴィム・ヴェンダース監督が、日本の公共トイレの中に「small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)」を見出し、清掃員の平山(役所)の日々を描いた物語。 大きな声援とカメラマンの呼びかけに答えながら、一同ゆっくりとレッドカーペットを進み、劇中で使用されている楽曲Lou Reedの「Perfect Day」がかかると、監督が思わず踊りだす場面も。 2300人以上を収容できるパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレにて行われた公式上映では、満員の観客がスタンディングオベーションで監督とキャストを出迎え、上映前から期待の大きさを感じさせた。 2時間5分の上映が終了するや否や、観客は総立ちで拍手を送り、約10分、鳴りやまなかったほど。感極まる監督を役所、中野、アオイ、田中らが優しく称える光景も感動的だった。 会場の熱気を浴びた直後の囲み取材で、役所は「皆さんほめるの上手ですよね(笑)」と照れつつも、「監督が言ってたんですけど、ほめられても自分がうまいと思わないで、けなされても自分がダメだと思わないで、映画で語りなさい、と。まさにそうだなと。でも今日みたいなあたたかい拍手を受けて、ああお客さんが喜んでくれてるんだ。良かったな。と単純に思いました」と顔をほころばせた。 中野は「どういう反応がくるのかなと不安だったけど、きっと感じるものがあるんじゃないかという望みはありました。スタンディングオベーションで喝采を感じた時にそれが確信に変わりました」と話した。 田中は「映像のお仕事で(スタンディングオベーションを受けたのは)初めてです。うれしいというよりも『役所さん、やったね!』という気持ちで、抱きつきたかったです」と、主演の役所を気遣った。最後にアオイは「役所さんが爆発するわけでも、変身するわけでもない映画なんですが、日常の幸せ、平和の象徴が描かれた映画が評価された、ということがとてもうれしく思いました」と、締めくくった。 この日、レッドカーペット前に日本向けの取材に応じたヴィム・ヴェンダース監督は、役所について「彼の作品は、かなりの数を見た」と言い、「警官としても侍としても素晴らしい、なんという役者なんだと思っていた。役所さんと仕事するのは夢のようでした」と、話していた。また、「この作品にはスピリチュアルなレベルがあって、皆それを感じてくれていた」と、キャストへの厚い信頼を明かしていた。 今回のコンペティションは、2014年『フレンチアルプスで起きたこと』でカンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞を、17年の『ザ・スクエア 思いやりの聖域』で、同映画祭最高賞であるパルムドールを受賞。さらに、昨年『逆転のトライアングル』で2度目のパルムドールを受賞したリューベン・オストルンド監督が審査員長を務め、オスカー受賞俳優ブリー・ラーソン、『フェイブルマンズ』(22年)での演技も記憶に新しいポール・ダノ、『ザ・ビースト』(22年)でゴヤ賞を獲得した仏俳優ドゥニ・メノシェなどが審査員を務める。計21作品の中から最高賞となるパルム・ドールをはじめ、各賞が発表となるのは、現地時間27日。各賞の行方にも注目だ。
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