脚本家・古沢良太が語る『コンフィデンスマンJP』の世界

脚本家・古沢良太が語る『コンフィデンスマンJP』の世界

4月9日(月)21時スタート!


■脚本家・古沢良太さんインタビュー 後編





『リーガルハイ』シリーズや『デート~恋とはどんなものかしら~』といった大ヒットドラマを手がけたほか、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』では、第29回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞を受賞するなど、いまや日本のみならず、世界が注目する当代随一の脚本家・古沢良太さん。



その古沢さんが放つ最新作が4月9日(月)21時スタートの『コンフィデンスマンJP』です。 信用詐欺師のダー子(長澤まさみさん)、ボクちゃん(東出昌大さん)、リチャード(小日向文世さん)の3人が、毎回、さまざまな業界の”金と欲にまみれた“大物たちから奇想天外な方法で金をだまし取るというこのドラマは、個性豊かなキャラクターたちが暴れまわる、痛快かつエッヂ―な“古沢ワールド”全開のエンターテインメント作品になっています。



古沢良太さんのインタビュー後編です。

前編はこちらから。





■“月9”で意識したこと…


――コン・ゲームの名作はたくさんあります。古沢さんご自身も好きなジャンルでもあるんですか?



元々、好きで観てはいますね。『スティング』はもちろんですけど、スティーヴ・マーティンとマイケル・ケインの『ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ』(88年 フランク・オズ監督)は大好きです。



――月9ということで意識されてことは?



あるんですかね?視聴者に月9のイメージとか。 メディアの人たちだけが言っている感じがしていて。 今の若い人は別に月9にイメージとか持っていないと思いますし、僕も月9をたくさん見ていたというタイプでもないので、イメージはないですね。 ただ、よる9時なので、あまり大人っぽい、難しい話にし過ぎないというのは少し意識しましたけどね。 それくらいかな? あと月曜日なので、「1週間頑張ろう」と元気になれるようなものがいいかな?くらいは思いましたけど。



――登場人物の本名も、背景も描かれていない理由を教えてください。



何が本当で何が嘘かわからない、というドラマにしたかったので、詐欺師の主人公たちの生い立ちとか背景とかを明らかにしてしまうと、ドラマとしてジメっとしちゃうというか(笑)。 きっと悲しい過去があったりするんだろう、と思うんじゃないですか? もう、そういうのはいいんじゃないかと思って。



――詐欺の手口などで、具体的に取材されたことはありましたか?



最初は、リサーチ会社に頼んで、いろいろな詐欺師の手口を集めてもらったりもしたんですけど、「そんなにちゃんとした詐欺師の話じゃないな」と思って(笑)。 いかに荒唐無稽にするか、ということが大事だったので、手口は非現実的でもいいと思ったんです。 それより、毎話毎話、ある種業界モノみたいな話にしているので、例えば「スポーツ編」ですとクラブ経営について調べたり、古代遺跡とかの業界のことや、「その業界で有名な人って誰かな?」と調べたりして。 そういう人って講演とかしているんですよね。 で、大体YouTubeに上がっている(笑)。 今でも僕のYouTubeページには、勝手にそういうのがどんどん上がってきています。 胡散臭いような学者さんが、荒唐無稽な説を論じているヤツとか(笑)。



――騙す手口は変わってくると思いますが、この業界だからこそ、というエピソードがあれば教えてください。



業界だからこそ、というよりも、ニセモノに成りすましたり、ニセモノを作って売ったりとか、ありもしないものをあるように見せかける、というのが基本的なやり方なんですけど、そこを追求していくと、「じゃあ本物とは何か?」ということがテーマになっていくことが多くて。 「スポーツの本質って何か?」とか、「家族編」でも「何をもって家族と言うのか?」とか、「本当の医者とは何か?」「本当の芸術とは何か?」というのがテーマになることが多かった気がします。





■イメージは『ルパン三世』!?


――とてもスピーディーな展開ですが、例えば「毎回これだけはやろう」、あるいは「これだけはやらない」と決めていたことは?



「ベリベリベリ(と言って、顔からマスクをはがす仕草)はやらない」というのは決めていました(笑)。 「実は私でした」みたいなものは「なし」だと最初に決めましたね。



――毎回、冒頭に名言のようなものが登場しますね。



騙すっていうのは「虚」と「実」みたいなテーマなので、ちょっと哲学的な要素があるドラマになるかな、と思ったので、最初に哲学者風に名言を言うところから始めてみようかなと思ったのと、タイトルが出る前に、みんなが事実だと思っていることは本当に事実なのか、というようなことを問いかけてからタイトルに行く、みたいなことを決まりごとにしたんですけど、途中で後悔しました。 「これを考えている時間がもったいない」と思って。 ストーリーを考えなきゃいけないのに、名言とか探している場合じゃないな、と思って(笑)。



――毎回『○○編』となっていて漫画チックな雰囲気もあります。 テイストなどで先に決めていたことはありますか?



詐欺師の話なので、暗くしないということは決めていて、とにかく明るく痛快にする、ということですね。 それと、『○○編』と言う風にしたのは、連続ドラマなんですけど連続モノではなく、1話1話が単独の話であって、あまり前後の話に相関関係がないようにしたかったんです。 おそらく、1話、2話、3話…という放送順と、起こっている出来事の順番は必ずしも放送順ではありません、という含みを持たせたかったんです。 「これはいつ起こったことなんだろう?」という風に思いながら見ていただいても楽しいかな、と。 あと、『ルパン三世』のイメージもあって。 特に原作の『ルパン三世』が好きで…。 原作漫画の『ルパン三世』って、割と後半になっていくとテレビアニメの影響も受けて、設定がちゃんとしていくんですけど、前半のころって設定とか決まっていないんですよね。 次元大介とか峰不二子とか出てきますけど、関係性が毎回違ったり、設定も違ったりして、1話1話、その回の設定だけでやっているんですよ。 そんなことが出来たら面白いな、と思って。 まあ、そこまではいっていないですけど、続き物という感じにはしないようにしたい、という挑戦ではありました。 あまり人がやっていないようなことをやってみたい、と思ったんです。



さまざまな職業に成りすますダー子たちの変装シーンはもちろん、江口洋介さん、吉瀬美智子さん、内村光良さんら豪華なゲスト陣との対決、虚実入り混じったスピーディーな展開、そして古沢作品ならではの小ネタも満載の『コンフィデンスマンJP』。ドラマ好きはもちろん、そうじゃない方にもおススメの注目作です。コンフィデンスマンの世界へようこそ!





古沢良太さんプロフィール



脚本家・戯曲家・イラストレーター。

『リーガルハイ』シリーズ、『デート~恋とはどんなものかしら~』(ともにフジテレビ系)や『鈴木先生』(テレビ東京系)、『外事警察』(テレビ朝日系)などのテレビドラマや、『探偵はBARにいる』シリーズ、『ミックス。』、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどの映画の脚本を手がける。


■番組情報


<タイトル>



『コンフィデンスマンJP』


<放送日時>



2018年4月9日(月)21時スタート *初回は30分拡大


<出演>



長澤まさみ

東出昌大

小日向文世




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