「第96回アカデミー賞」『君たちはどう生きるか』宮崎駿監督2度目の長編アニメ映画賞受賞

「第96回アカデミー賞」『君たちはどう生きるか』宮崎駿監督2度目の長編アニメ映画賞受賞

 スタジオジブリ宮崎駿(※崎=たつさき)監督の10年ぶりの新作映画となる『君たちはどう生きるか』が米ロサンゼルスの現地時間10日夜、日本時間で11日午前に開催された「第96回アカデミー賞」で長編アニメーション映画賞を受賞した。



【画像】映画『君たちはどう生きるか』場面カット



 宮崎駿監督作品としては、2002年米公開の『千と千尋の神隠し』、05年米公開の『ハウルの動く城』、14年米公開の『風立ちぬ』に続く4度目のノミネートで、日本作品で初受賞した『千と千尋の神隠し』以来、21年ぶり2度目の受賞となった。



■『君たちはどう生きるか』ここまでの歩み



 『風立ちぬ』が日本で公開されて間もない2013年9月、宮崎監督は長編映画製作からの引退を発表。しかし、本作へつながる創作意欲が抑えられず、引退を撤回して、新作に取り組むこと約7年。10年ぶりの新作長編作品として23年7月14日に公開された。「観客にまっさらな気持ちで見てもらいたい」(鈴木敏夫プロデューサー)と、公開まで映画の内容に関する情報を明らかにしない異例の対応でも注目を集めた。



 24年3月10日時点でいまだ劇場にて上映中。24年1月末時点で興行収入88.4億円の大ヒットを記録。先日8日に発表された「第47回日本アカデミー賞」では最優秀アニメーション作品賞を受賞した。



 海外展開に目を向けると、英題『The Boy and the Heron』は、クリスチャン・ベール、デイヴ・バウティスタ、ジェンマ・チャン、ウィレム・デフォー、カレン・フクハラ、マーク・ハミル、ロバート・パティンソン、フローレンス・ピューなど、超豪華な英語吹き替え版キャストが話題となるなど、公開前から大きな注目を集めて来た。



 昨年9月「第48回トロント国際映画祭」に“邦画として初”、アニメーション作品としては“世界で初めて”オープニング上映作品に選出されたのをはじめ、海外の国際映画祭への出品も相次いだ。



 昨年11月22日からニューヨーク、 ロサンゼルスの4館で先行上映を敢行し、アメリカでの宮崎駿監督作品の劇場平均興収として過去最高成績を記録。ニューヨーク・タイムズやロサンゼルス・タイムズなど、観客を後押しする好意的なレビューが各メディアから出され、全米公開前にもかかわらず、12月1日発表のニューヨーク映画批評家協会賞でBest Animated Filmを受賞した。



 12月8日からアメリカ&カナダで2205館で公開されると、公開初日から3日間(12月8日~10日)でオープニング興収(先行上映含む)約1297万ドル(約19億円)を記録し、日本映画オリジナル作品としては初となる、北米週末興行収入ランキング第1位を獲得した。



 12月10日にはロサンゼルス映画批評家協会賞のBest Animationとボストン映画批評家協会賞のBest Animated Film、年が明けた1月7日には日本作品としては初となる「第81回ゴールデン・グローブ賞」のアニメーション映画賞を受賞。2月17日の「アニメ界のアカデミー賞」と呼ばれる「第51回アニー賞」では、最も権威ある長編作品賞を『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に譲ったが、長編部門の絵コンテ賞とキャラクターアニメーション賞を受賞。2月18日の「第77回英国アカデミー賞」では、日本の作品として初めてアニメ映画賞を受賞した。そして、世界最高峰の映画賞「第96回アカデミー賞」で長編アニメ映画賞に輝いた。
カテゴリ