「すぐ怒るから怖いし無理です!」仕事避けられ…新入社員の思いもよらない言動に教育係「パニックに」 「想像するだけで恐ろしい」漫画作者の思い

「すぐ怒るから怖いし無理です!」仕事避けられ…新入社員の思いもよらない言動に教育係「パニックに」 「想像するだけで恐ろしい」漫画作者の思い

 「繊細すぎる、敏感すぎる人」を意味するHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)をテーマにした漫画『新人は自称HSP』(KADOKAWA刊)は、「私HSPなんで!」と宣言して仕事を人に丸投げ、ミスを指摘すると逆ギレするトンデモ新入社員とのトラブルが描かれる。フィクションながらリアルなエピソードがつづられた内容は、著者のはむら芥さんの自身の体験談がもとになっている。「配慮と思いやりについて考えるきっかけとなれば」と語るはむら芥さんに話を聞いた。



【画像】「私、HSPなので!」仕事避ける新入社員の言動は悪質?



■「価値観の衝突が避けられない部分も…」職場で働く難しさ痛感



――新入社員の高瀬さんは、「自分はHSPだから」という理由で面倒な仕事を避けたり、注意されたことをまるで被害者のように大袈裟に周囲に広めたりします。周囲はそれを鵜呑みにして、教育係である加藤さんを責める態度を取り始めます。



【はむら芥さん】教育係である加藤さんは、新入社員の思いもよらない言動に「どうしよう」というパニックに近い真っ暗な気持ちだったと思います。何をしてもマイナスに働いてしまい、その上パワハラになるからと蓋をされて弁解もできない状況は、非常に苦しく逃げ出したいくらい辛いものだったのではないでしょうか。自分にはどうしようも出来ないことで状況がどんどん悪化していく様子は、想像するだけで恐ろしいですね。



――OJTや職場の人間関係など、実際の我々の職場でも問題点など出てきそうです。とはいえ働く環境や人間関係など、一定の配慮や気遣いは必要です。



【はむら芥さん】現代の職場環境や人間関係については、非常に複雑で難しい時代に入ったと感じています。以前は会社のルールが絶対とされる風潮がありましたが、最近はそうでは無いとの考えも増えてきていますよね。多様さを求める若い世代と、昔からの風潮に慣れ親しんだ上の世代が入り混じって一つの職場で共存するとなると、価値観の衝突が避けられない部分もあるのではないでしょうか。これからの時代は、自身の働きやすさを追及する一方で、周囲の意見も尊重し、一番いい職場の在り方を私達一人ひとりが当事者として考えていく姿勢が大切になってくるのではと思っています。



――本作のテーマのひとつとなった職場における「HSP」については、どのようにお考えですか。



【はむら芥さん】「HSP」については、私は非常に頼もしい気質だと感じています。自分は割と大雑把な性格をしているので、私生活や仕事では細かなミスなどがままあるんです。しかし、例えばHSPの友人との関係で考えると、彼女はいつも私の小さなミスに気が付きさりげなくフォローしてくれるので、本当に助かることばかりなんです。彼女はよく自分を気にしすぎな性格だといいますが、その注意深さは誰にでも真似できるものではないですし、むしろ素晴らしい長所だと思います。だからこそ、彼女もといHSPの方にはもっと自信を持って自分を誇って欲しいと常々感じています。



――今作の中で、とくに印象に残っているシーン、お好きなシーンはどこですか。



【はむら芥さん】印象に残っているシーンとしては、高瀬さんが「やっぱ今の時代 『配慮』が一番効果あるよねぇ~」と言うシーンでしょうか。普通みんながなかなか触れることができない部分に対して、核心付いた一言放つインパクトのあるシーンだと思います。高瀬さんだからこそ言えるセリフが光っていて非常に印象に残っています。好きなシーンとしては、やはり最終話にある3人の新しい関係性が見えるところですね。マンガを書き進める中で、特に加藤さんの辛さを描くのが自分でも本当に苦しかったのですが、その分最後のこのシーンで一気に解放される感覚があってとても気に入っています。



――いろんな立場で考えさせられる内容です。



【はむら芥さん】本作を通じて、ぜひ「もし自分の周りに自称HSPの高瀬さんがいたら…」と想像してみていただきたいです。彼女の巻き起こすトラブルを通じて、配慮と思いやりについて考えるきっかけとなれば嬉しいです。
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