介護という重いテーマにも関わらず明るいアニメ映画『 老人Z 』レビュー

介護という重いテーマにも関わらず明るいアニメ映画『 老人Z 』レビュー

アニメ映画『 老人Z 』で取り扱っているテーマは非常にディープ。現実社会でも連日介護問題で話題が持ちきりです。そんな凄く重いテーマを笑って明るく見れるようになっているのが『老人Z』です。終わり方が気持ちの良いものなので笑ってみれますが、もしも…と考えてしまうことも。見終った時に色々と考えてしまう作品です。


■高齢化社会など老人問題をテーマにしたSFアニメーション映画『 老人Z 』

1991年に公開されたアニメ映画で、大友克洋と江口寿史がコンビを組みメカニックデザインとキャラクターデザインを担当した知る人ぞ知る映画です。SFで介護問題で奇抜なショートコメディアニメといえるでしょう。


■看護学校に通うハルコはボランティアで老人・高沢の介護を行う

高沢が最新型介護ロボット「Z-001号機」のモニターに選ばれ、ハルコはお役御免となってしまう。だが見舞いだけでもと、行った先でチューブだらけになった高沢の姿を見てショックをうけたハルコは高沢を助け出そうとするが失敗。実習先で知り合った老人ハッカーらに助けを求めるのであった。


妻に先立たれ、寝たきりとなった高沢老人の痴呆が進んだ頭に残っていたものは、「鎌倉へ行きたい」という純朴な願い。彼の願いを叶えようと、高性能な自動介護ベットが暴走が巻き起こす一騒動を、80分という短時間で面白くかつ明るくまとめています。


少子高齢化社会となり、老人の割合が確実に増えていく現代の日本社会では、大抵の人が無関係でいられないであろう課題ですよね。





■『 老人Z 』は、介護という社会問題に鋭い切り口で問題提起をするアニメ映画

時代を先取りしたテーマもさることながら、娯楽作品として破綻せず、展開がスピーディであっという間に引き込まれます。 所々の細かい描写には拘りも感じられます。機械に拘束された気の毒な老人を救おうと、献身的な介護学院学生・ハルコや、暇を持て余す老人ハッカーが痛快に活躍し、感情移入し易くなっていて、官僚など上の立場から真剣に老人介護を考えようとしているキャラクターもいて、一方的ではなく様々な人が考えていて物語が深いのを感じました。


キャラクター達すべてが活き活きしている作品で、バブル時代を象徴しているかのようです。ハッカー老人がとにかく素敵で、将来あんな老人になってみたいものです。短い映画なので時間がない人にもお勧めです。


 


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(あにぶ編集部/さっちん)
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