地獄少女 宵伽 第1話「見えない聞こえない」【感想レビュー】
『地獄少女』シリーズ待望の最新作・第4期 宵伽(よいのとぎ)がついに始まりました。最近では『Re:ゼロから始める異世界生活』『サクラクエスト』『有頂天家族2』といったアニメに出演した能登麻美子さん。そんな彼女が演じる閻魔あいというキャラクター。そしてダークな作風。この2つが魅力的な作品です。でもこれ、8年ぶりの新作なんですよね。『地獄少女』?なにそれ? というアニメファンもたくさんいるのでしょうか。そういう方も、この機会に『地獄少女』にハマってもらえればいいなぁ……。とまあ前置きはここまでにして……。宵伽のレビューをすることになりましたので、はじめていきたいと思います。■地獄にもスマホの波が押し寄せている?地獄少女とは、午前零時にだけアクセス出来るサイト「地獄通信」に、恨み相手の名前を書くと出現する女の子。 基本的に、毎回ことなるサブ主人公的なキャラクターが登場し、彼(彼女)を中心に話が進んでいきます。今回のテーマは、“イジメ”です。――晴らせぬ恨み、晴らします。1~3期を観ていた方にはお馴染みのナレーションからスタート。4期最初の依頼人となるのは、真山静香という少女です。彼女は授業中、LINEによるイジメを受けていました。少しぽっちゃりな体型なので「ガス丸」と言われ、延々続くLINE上の罵倒。クラスメートを地獄に流そうと「地獄通信」にアクセスするも、1人しか対象にできないと知り悩みます。さすがに8年もたっているだけあって、最新作では「地獄通信」もスマホに対応。そういえば、映画『リング』の貞子もビデオからネットへと移行していましたよね。ホラー界もIT業界の進歩には対応せざるをえないようです。■ようやく出来た友達地獄少女である閻魔あいの仲間達は、教師や用務員として学校に潜入し、依頼人を観察します。これは毎度お決まりのやり方です。どうやらイジメは1ヶ月ほど前から続いている様子。教師も、スマホいじりを静香にだけ注意し、まわりはくすくす笑うという。早くも暗い雰囲気。そんなある日、静香はクラスメートの湯浅麻子から声をかけられ、一緒にお昼を食べることに。麻子「(LINEを)見なきゃいーじゃん」 静香「気になるから」 麻子「1人じゃ寂しい? だったら、私が友達になってやる」麻子は、口と態度は少し悪いのですが、根はいい人みたいで。静香は、ようやく出来た友達との会話やLINEを楽しみはじめます。■一転、裏切りあう画像引用元:©地獄少女プロジェクト/宵伽製作委員会 ©地獄少女プロジェクト/スカパーウェルシンク・アニプレックス貯めるから辛くなる――麻子はそう言うと、気持ちを吐き出す場としてLINEのグループを用意します。そこにはもうひとり、麻子の友人らしい人もいました。 そこでクラスメートたちの悪口を語り、日頃のうっぷんを晴らす静香。しかし、ある朝登校すると、LINEの内容がクラスメートに広まっていました。麻子がそんなことをするわけがない。そう思った静香は他クラスに居るもうひとりのメンバーを訪ねます。しかし、彼女は静香のことを知らないようでした。信じていたのに騙された。ショックを受けた静香は、閻魔あいから地獄に流すための藁人形を受け取ります。静香「騙されてた。許せない」あい「あなたが本当に恨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を、解けばいい。糸を解けば、私と正式に契約を交わしたことになる。恨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ」あい「ただし、恨みを晴らしたらあなた自身にも代償を支払ってもらう。人を呪わば穴二つ。契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に落ちる」あい「死んだ後の話だけど」あい「あなたの魂は永遠に痛みを味わいながら、彷徨うことになるわ」■真相は……そして、麻子を問い詰めます。過去に、麻子は廊下で静香にぶつかっていました。ぶつけられた側なのに、クラスメート相手にすぐ謝る静香。そんな彼女のことが気に食わなくて、悪口を言い始めた。けれどここまで大事になるとは思わなかった。そう弁解する麻子を、容赦なく地獄に流す静香。地獄に流された麻子はスマホに変えられ、重いからデータを軽くしよう!ということで、データに置き換えられた臓器を削られていき……。ターゲットを毎回コントみたいに追い詰めるのは、このアニメのお約束。ユーモアあふれる絵に、わりと酷い仕打ち。なかなかブラックです。ところが、LINEの情報を流した人物は別にいました。静香が訪ねたのは、名字の同じ別人だったのです。そのことに気がつかない静香と、黒幕なのになんのバツもない真犯人。イジメのきっかけを作ったとは言え、最後は勘違いで地獄に送られてしまった麻子。このモヤモヤするオチもまた、『地獄少女』の魅力の一つ。画像引用元:©地獄少女プロジェクト/宵伽製作委員会 ©地獄少女プロジェクト/スカパーウェルシンク・アニプレックス■地獄少女 宵伽 は「正しい事」を肯定するストーリーではない晴らせぬ恨み、晴らします――とはいうものの、地獄少女は正義の味方ではありません。勘違いだろうが、逆恨みだろうが、報復だろうが、依頼されれば相手を地獄に流す。そして、後悔しようが満足しようが関係なく、たった1人を流しただけで自分の地獄行きも決定する。なかなか非合理的で、ブラックなシステムです。今回、静香の様子を観察するシーンで、「あれでいいの?」と閻魔あいに問いかける謎の人物がいました。もしかすると、第4期では「地獄通信」の問題性に突っ込んでいくのかもしれません。ということは、欠点をつくために今後もどんどん酷いオチが待っているのかも?この第4期からでも、十分入っていけると思いますので、初見さんもぜひ観てみてください。『惡の華』青春の葛藤を斬新な映像表現で描く意欲作(あにぶ編集部/星崎梓)
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