『光る君へ』毎熊克哉が語る 直秀“惨殺”の裏側 最期シーンで泥を握りしめる「悔しい思いを道長に…」

『光る君へ』毎熊克哉が語る 直秀“惨殺”の裏側 最期シーンで泥を握りしめる「悔しい思いを道長に…」

 俳優の吉高由里子が主演を務める、大河ドラマ『光る君へ』(毎週日曜 後8:00 NHK総合ほか)の第9回が放送され、毎熊克哉が演じる直秀が志半ばで退場した。このほどインタビューに応じた毎熊が撮影秘話を語ってくれた。



【悲しい】直秀の亡骸に手を合わせる道長、まひろの表情は…



 主人公・紫式部/まひろは、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた女性。「光源氏」の恋愛ストーリーの原動力は秘めた情熱と想像力、そしてひとりの男性への想い。その男性の名は藤原道長。変わりゆく世を自らの才能と努力で生き抜いた女性の愛の物語だ。脚本は大石静氏が務める。



 前作『どうする家康』の大岡弥四郎役に続き、2作連続の大河ドラマ出演となった毎熊。「撮影現場でやっていることに関しては、衣装に着替えて、メイクをして、演技をして…と、大河ドラマでも映画でも変わらない」と前置きをした上で「ただ、そこに集まってる主要キャストやスタッフの方々は、準備も含めて膨大な時間、人生そのものを作品に費やしているわけじゃないですか。“ 大河をやるんだ“ というエネルギーを強く感じて、僕は9回までにはなりましたけど、その熱量に一緒になって挑まないとと思いながら作品に臨みました。撮影は3ヶ月で終わったんですけど、僕自身も一年分の気持ちになって挑んだというか…。それは他の作品ではなかなか生まれない感覚で、すごく責任重大だなと思いました」と話し、充実感をにじませた。



 また、直秀役のオファーを受けた段階で「序盤に殺されるということは知っていました」という毎熊。流罪が決まった盗賊団のメンバーたちがその道中で惨殺されたシーンに話題が及ぶと「カラスに食われているという描写がとてもいいなと思いました」と客観的に語る。



 続けて「理由を説明するのが難しいのですが、ただ死ぬだけじゃなく、死んだ後にカラスに食われているというのがすごく残酷に思えたというか…。鳥って自由の象徴のような感じがして、直秀は、自分の意思で自由に生きていけるというキャラクターでした。その人が鳥に食われてるっていうのは、なんかいいなって思いましたね」。変わり果てた直秀を見て、まひろと道長は慟哭する。毎熊は「まひろと道長に影響を与える役でしたが、重く長くのしかかるシーンだなと思います」と振り返った。



 さらに「台本には書かれていないのですが、演出の中泉さんに直秀の最期の姿はどんなものか…と相談をうけて、手に泥を握りしめているというのを提案しました」と告白「その姿を道長が見つけて、泥を払って扇子を持たせてやるというシーンになりました」。その意図については「一つは権力の抵抗。そしてその悔しい思いを道長にバトンタッチするかのように泥を握りしめました」と明かしてくれた。



 町辻で風刺劇を披露する散楽の一員で、当時の政治や社会の矛盾を面白おかしく批判していた直秀は、近いうちに都を離れ、山を越えて、海が見える遠い国を目指す予定だった。



 最後に毎熊へ“まひろへ残す言葉”を問うと「いつかは海を見てほしいなと思いますね。都の外にはこんなにきれいな場所、景色がいっぱいあるんだと知ってほしい。こんな狭っ苦しい、生きづらい世界ではなく、もっとのどかで美しい世界を見てほしい」と願うように呼びかけていた。
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