「いろんな人の思い乗せて…」『監察医 朝顔』広報マンに聞いたドラマの魅力
毎週(月)21時~『監察医 朝顔』毎週月曜日、このドラマを楽しみにしている人は多いだろう。『監察医 朝顔』は放送スタート時から平均視聴率は12.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)をマークし好評を博している。さて、マスカットでは今作品の演出でもプロデューサーでもなく、広報マンに注目してみたい。番組の魅力をひとりでも多くの人にいかに伝えることができるのか?彼らの戦略から見えてきた『監察医 朝顔』の魅力とは?「命にひたすら真面目なドラマ」『監察医 朝顔』のチーフ広報担当・平井隆に話を聞いた。Q.最初にこの作品の広報を任されたときのことを教えてください。平井)まず、プロット(台本前に作られる構成台本)を読んで感じたのが、「生きることも死ぬことも含めて、命にひたすら真面目に向き合おうとするドラマなんだな」ということでした。医療や刑事の要素がある、娘と父を中心にしたヒューマンドラマであり、大切な人を失ったふたりの人生を描きたい、という制作チームのしっかりとした思いを感じました。私も母親を突然亡くしていて、プロットを読んで、その時のことが思い出されました。主人公の朝顔先生のような法医学者に診てほしかったな、とか、登場人物が抱く、誰かを亡くした思いにもすごく共感して、最初からこのドラマに心を奪われました。上野樹里の役作り 2泊3日で被災地へQ.そんなドラマをどのようにPRしていきたいと思いましたか?平井)そもそものプロデューサーのドラマへの思いはもちろん、クランクインする前にプロデューサーや上野さんが、実際の法医学者の先生や、被災地である岩手県・陸前高田市の地元の方の話を聞きに行ったりして、これほど真面目で真摯に制作に臨んでいるドラマはないということだけは、ちゃんと伝えていきたい、と思いました。Q.陸前高田市まで?平井)クランクイン前に、制作チームと上野さんが2泊3日で陸前高田市を訪ねることになり、私も同行をしました。被災し、奥様を亡くされた市議会議員の方からお話をうかがったり、遺体安置所となった体育館への訪問、遺族会の皆さんにも会いに行きました。初めて、上野さんが出演する作品の広報を担当したのは『グッド・ドクター』(フジテレビ・2018年夏)でした。その時もクランクイン前に、制作チームと上野さんが長野県立こども病院を訪ねることがあって、私も同行をしました。役作りのためだけに、女優さんが長野県まで普通に来るだけでなく、先生方とのお話の中で「このドラマを放送する意義は、小児外科医を目指す人が少しでも増えることだと思うのです」とおっしゃっていて、こんなに真っ直ぐで素敵な女優さんがいるんだ・・・と、とても驚いたことを覚えています。被災地に訪れたことについて語る上野樹里(舞台挨拶にて)平井)それまでも、上野さんは取材などで答えていましたが、舞台挨拶には、お話をうかがった法医学者の先生や前述の市議会議員の方も駆けつけてくださることもあって、最後に、陸前高田市を来訪した上で朝顔を演じることへの思いを、改めて上野さんにお話してもらうパートを設けました。上野さんは「一人で役を作っているわけではなく、いろんな人の思いをのせて」とおっしゃっていました。いま、このドラマがどうして、多くの方から支持をいただいているのか、と聞かれれば、私は上野さんのその言葉が、すべてだと思います。何が起きるかわからない!?ドラマの会見ではハプニングもQ.平井さん自身、今まで広報マンのキャリアの中で思い出深いエピソードは?平井)『貴族探偵』(フジテレビ・2017年春)の広報を担当していたときにおこなった記者会見は、今でも鮮明に思い出します。主演の相葉雅紀さんが貴族を演じるということで、当日は約1000人の観客の中に敷かれたレッドカーペットの上を白馬が引く馬車に乗って、相葉さんに登場していただくことになりました。リハーサルもおこないましたが、いざ本番となると、あまりの人の多さに馬が驚いて前に進めなくなってしまって・・・。一向に前に進む気配もなく、まずいので相葉さんに馬車から降りてもらうようスタッフに指示を出そうとしたら、相葉さんが自ら馬車から降りて、颯爽とメインステージへ登壇してくださって・・・相葉さんの見事な機転に助けてもらいました。会見後、お詫びをしたら、「全然、大丈夫ですよ」と笑顔で。馬には何にも責任は無く、ただただ私のミスで、どの口が言うんだという感じですが、やはり、相葉さんはとびっきり素敵な方だな、と改めて感じ入りました。ちなみに、相葉さんが降りたあとも馬は動けず、近くに観客の方もいらっしゃる中で排泄をしてしまって・・・観客の方からお叱りは無かったのですが、その方々にも心からお詫びをしたいという気持ちは今もいっぱいです・・・。Q.平井さんにとって広報・PRへの思い、こだわりは?平井)広報の仕事は、エントリーシートを提出するようなものだと個人的には思っています。広報の仕事は、まず自分が担当する番組のリリースを発信することから始まります。それを記事にしてくださるかどうか、選ぶのは記者の方々であり、その記事を読んで、番組を見てくださるかどうか選ぶのは視聴者の皆様です。ですから、エントリーシートと同じように、見栄えは良く整えることはできても、絶対に嘘はリリースに書けません。そういう意味で、今回の『監察医 朝顔』というドラマは、私にとって、どんな企業にも胸を張ってエントリーシートを出せる作品です。そんな作品に巡り会えたことは、本当に幸運だと思っています。番組概要 『監察医 朝顔』<放送>毎週(月)21時~1時54分<出演者>上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎、藤原季節、坂ノ上 茜、田川隼嗣、喜多乃愛、宮本茉由・戸次重幸、平岩 紙・ 石田ひかり・三宅弘城、板尾創路、山口智子、柄本 明ほか
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